2017年 04月 24日
火曜会かわら版
e0273912_8384650.jpgこちらの小冊子には、火曜会会員の先輩方とその周囲の方々が考える「総合診断」がまとめられています。診断について学ぶうえでは、とても参考になる記事ばかりなのですが、筆者の方々の観察力や洞察力、そして何よりその文章力にはただただ圧倒されるばかりです。

”総合診断は、自分の医療の鏡像としても機能し始めた。我々は鏡に映った自分の全体像を見て、初めて統一性のある自分を発見できるように、総合診断という全体像を通して自分の医療の実態を知ったのである。”
”口腔単位の治療の拠り所としての診断を仮想し、これまでの歯科の診断と対比して総合診断という言葉を用いたことには、症例への対応だけでなく、歯科医療のあり方に対する願望も秘められていた。”

「総合」ということばの中に、各対象(術者・患者・歯科医療)の空間的・時間的要素をどこまで含めるのかによって、総合診断の難易度は大分変わってきそうです。自分の能力を踏まえて考えてみると、診断はあくまで「一面のかた」と割りきって、その不足分は経過観察で補うというのが現実的なように感じています。

# by nakadateshika | 2017-04-24 08:39 | 歯科臨床 | Comments(0)
2017年 04月 23日
総合診断へのアプローチ
e0273912_5521090.jpg前回のもぐら塾には間に合わなかった臨床診断について、再考しています。講義の中でもご紹介されていた豊永先生や国島先生をはじめ、著明な先生方が自身の臨床診断についての考えをまとめられていて、今読んでみても学ぶことが満載です。

”複雑、多様化していく歯科医療のなかで、歯科医師が本来行わなければならない役割が何であったのか(金子先生)”
”診断と治療方針というのは難しいものであり、患者によっても術者によっても変わるものであると思う。自分の未熟さを補うために、常に慎重に考え行動するように心がけ、チェックを繰り返し、書物から学び、患者から学ぶ毎日である(国島先生)。”
”総合的な診断の目と、基礎的診療やラボワークに対する細かい注意の積み重ねとが、患者の口腔を長期にわたり大過なく経過させることを忘れてはならない(豊永先生)。”

「術式は以前のものであっても、物事を的確に見つめていた先駆者たちが残した書物から学ぶことは極めて多い。」と、(平静の心で有名な)オスラー博士は述べています。時代とともに”how to”は変わりますが、”what to do”はそれほど変わらないものだと思うので、こういった本は是非とも残していくべきだと思います。

# by nakadateshika | 2017-04-23 05:50 | 歯科臨床 | Comments(0)
2017年 04月 18日
もぐら塾レポート
e0273912_16494751.jpg先週末は、もぐら塾第二期が開催されました。今回は熊本からの参戦は少なめでしたが、まさかの大物が飛び入り参加されたこともあって、金子歯科での最後のもぐら塾も充実した二日間となりました。

# by nakadateshika | 2017-04-18 06:53 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2017年 04月 06日
Think globally, act locally
e0273912_13215561.jpg抗生物質の開発に多大な貢献をした細菌学者:ルネ・デュボスの著書「健康という幻想」を読みました。ざっくりまとめてみると・・・人間が追い求める「健康や幸福」は生物学上の健康と同義ではなく、社会的渇望(各個人が自分のためにつくった目標)によって決定される。従って、足ることを知らず 常に変化を希求しつづける人間にとって、『健康』という概念は幻想に過ぎない・・・というような内容でした。

また 彼の功績を調べていたら、抗生物質の歴史についてよくまとめられている記事を見つけました。
”抗生物質の発見以来、人間は、微生物環境を制御できるという過大な自信を抱くに至った。しかし、これが奢り以外の何者でもないことは、耐性菌の逆襲が雄弁に物語っている。人間は、生態系をコントロールできるほどの力を持ってはいない。むしろ、微生物が形成している生態系の中に、自らもどっぷりと浸かっていることを思い知るべきである。”
若くして世界的な細菌学者となった彼が 研究の道からあっさりと身をひき、後半生を生態学的文明論に関する思索と著作執筆に没頭したのは、こういったことに気づいたからなのかもしれません。

"Think globally, act locally."  こちらも彼の残した言葉ですが、短いセンテンスの中に歯科医療をはじめとして 様々な分野で通用するエッセンスが詰め込まれている名言だと思います。社会における歯科医療のあり方を考えること、そしてそのためには目前の1人1人の患者さんと真摯に向き合い、その小さな一歩を積み重ねていくこと以外に道はないということを教えてくれているようです。先人の足跡を振り返ってみると、この言葉が幻想ではなく まさに真実であることがよく分かります。

# by nakadateshika | 2017-04-06 08:42 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2017年 03月 30日
プラネット アース
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昨晩テレビを点けると、プラネットアースの新シリーズが放映されていました。過酷な環境の中で生き残るために、進化することで機能と形態を変化させてきた なまけものやキツネザル。生まれた直後から「メドゥーサの頭」のような蛇の大群から猛アタックを受けるイグアナの赤ちゃん。南極にほど近い絶海の孤島で、お腹をすかせて待っている家族のために 荒波へと決死のダイブを繰り返すヒゲペンギン。などなどまさに命がけの壮絶なバトル&ドラマが満載で、すっかり魅了されてしまいました。どんなに厳しい環境の中にあっても、自らを巧みに変化させることで必死に生き抜いてきた彼らを観ていると、自分の都合で安易に環境を変えてしまう人間というものの異質さを感じずにはいられません。
何回か連続で放映されるようなので、次回も楽しみです。






# by nakadateshika | 2017-03-30 07:48 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2017年 03月 29日
第二回・熱血!もぐら塾
e0273912_13221273.jpg先週末は、第2回もぐら塾が開催されました。今回は塾長の真骨頂ともいえる”すれ違い咬合”の話題を中心に、パーシャルデンチャーの長期経過症例が惜しげもなく披露されました。

20年以上の時を経るということは、補綴物をはじめとして、患者さんの「ひと・くち・は」、そして術者や歯科を取り巻く環境、その全てが変化することを意味しています。それに伴って様々な綻びが出てきてしまうのは補綴の宿命ともいえますが、その真実を余すところなく伝えていただけることは(自分を含め)若手にとっては何事にも代えがたい貴重な機会だと思います。
先々のことを予測することは極めて困難なことですが、その経過を丹念に記録していくことと、その変化に対応できるような処置方針を立てることの重要性を改めて感じました。

今回のメンバーでのもぐら塾は暫くお休みになり、来月からは新メンバーを迎えてのスタートとなります。双方向性が特徴の少人数セミナーですので、今回とはまた違う盛り上がりをみせるのではないかと、今から楽しみにしています。

# by nakadateshika | 2017-03-29 09:31 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2017年 03月 15日
ホームドクターの役割
e0273912_721847.jpg昨日の火曜会は、須貝歯科師弟コンビの共演でした。須貝先生といえば、咬合育成からフルデンチャーまでを非常に高いレベルで網羅されている理想のホームドクターですが、昨日の両演題(咬合育成と摂食嚥下)もまさに須貝歯科らしい内容で、高齢化社会という問題を抱える現代において、ホームドクターとして何をすべきか、何ができるのかについて深く考えさせられる、とても充実した3時間でした。

須貝先生のご発表では、要介護ステージでの口腔管理や補綴処置の難しさとその要点、またそのステージに至るまでにホームドクターとしてすべきことについて教えていただきました。
超高齢化社会となった現代では、クリニックに通うことができるステージよりさらに一歩先までを見据えた対応が必要とされてきています。現在の歯科界には様々な問題がありますが、要介護となるラインをまたぐ前後のステージ間で口腔管理の落差があまりにも大きいということが、もっとも重大で喫緊な問題の一つに挙げられるのではないかと思います。ただ、残念ながらいまだ十分な体制が整っていないというのが実情です。クリニックの中では歯の保存に全力を尽くす一方で、その後のステージでは歯があることでのトラブルが起こり得るという、患者・歯科医双方にとって悲しすぎる歪み現象をできるだけ緩和し、なるべくシームレスな考え方・対応ができるような体制づくりの必要性を改めて感じました。

つづいて元代診(僕の1代先輩)であるN先生は、「Deep overbiteで成人させないために」という演題でご発表されました。内容としては、咬合不正の根本的な原因は悪習癖(機能不全)であるとの仮説をもとに、筋機能や姿勢などの環境因子を是正することで本来の姿(正常な歯列)に戻そうという取り組みでした。なかでも自分としては、(イントロでの)不正咬合は文明との接触によって生じた現代病である、というお話にとても興味がひかれました。一般的に、環境の変化に生体の適応が追いつかない場合に病気となるのではないかと思われますが、あまりにも多くのことが急速に変化する現代社会では、 その変化に生体と社会の適応がまったく追いつかず 結果として様々な生体的・社会的な病気(問題)が生じているように感じます。
咬合不正についても食生活などの変化により、後天的因子の影響を受ける顎骨の成長と先天的因子の影響が大きい歯牙の大きさとのアンバランスが原因であるとも考えられます。長い時間が経過すれば遺伝子レベルで適応反応が生じるのかもしれませんが、それまで待っているわけにもいきません。機能と形態、アプローチの仕方はどちらの方法もあり得ると思いますが、変化に対する適応力が最も高い小児期において咬合育成を行うことは、とても有意義なことだと感じています。

”良いものはカタツムリのように(ゆっくりと)進む”

かつてガンジーは、現代文明に警鐘を鳴らす意味でこのような言葉を発したそうです。その意味するところは深遠ですが、要介護の問題や咬合不正の問題もそこに端を発していると考えられなくもありません。ただ残念ながら歯科医には社会構造まで変える力はありませんので、ホームドクターの役割としては 環境の変化と生体の適応との歪みを補正するべく、カタツムリをそっと後から押してあげるような対応が望まれているように感じています。

# by nakadateshika | 2017-03-15 06:46 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2017年 03月 13日
映画 ドラえもん
e0273912_757151.jpg昨日はドラえもんの映画を観にいってきました。公開されたのは先週からですが昨日もほぼ満席で、世代を超えたドラえもん人気の高さに驚きました。
最近はポスターやキャッチコピーも随分と格好良くなり、内容的にも社会問題を窺わせるようなところもあって、stand by me のヒット以来 大人もターゲットに含めているような印象を受けました。
ただ子供にとってはそんなことはお構いなしで、終始前のめりになって 映画に見入っていました。






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# by nakadateshika | 2017-03-13 07:57 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2017年 03月 12日
便利な栞
e0273912_8174726.jpg栞とマーカーを兼用できる便利アイテムを見つけました。今までは気になるところに赤線を引きまくっていましたが、後からみるとあまり綺麗なものではなく、特に貴重な本の場合にはかなり躊躇してしまいます。ただ、後から見返したときに何も目印がないとどこが大事だったのか分からなくなってしまい、それも困ります。
このポストイットであれば取り外しも自由自在、見た目も綺麗なうえに栞代わりにもなりますので、一石二鳥でオススメです。

# by nakadateshika | 2017-03-12 08:14 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2017年 03月 09日
デンティスト
e0273912_13253730.jpg分館への配送が概ね完了しました。無類の本好きにとっては名著に囲まれているだけでルンルン気分ですが、それでは宝の持ち腐れになってしまうので、少しづつでもご紹介していきたいと思っています。

こちらは、1975年に創刊された歯科雑誌・デンティストです。「患者とのコミュニケーションを考える〜開業医・その現実と未来〜」というテーマの中での記事ですが、(顔写真を除いては)40年以上前のものとは思えない内容で、今読んでみても心にズシンと響きます。

”もともと病気に悩む人々を救うための学問であったはずの医学の進歩が人間のあり方についての理解を混乱させ、先行きについての戸惑いや、一種の恐怖感が生まれはじめているようにも思われます。(医者と患者と病院と)”

40年前から見れば、診断機器や治療技術は飛躍的に進歩しました。それとともに、歯の保存や機能回復を図る選択肢も大幅に増加しましたが、果たしてどこまで機能回復することが医療なのか?という問題は、超高齢化社会という難題も抱えた現代ではより一層難しくなっているのではないでしょうか?恐らくその問題についての絶対的な答えというものはなく、より個別性が重視されてきているように思いますが、その答えに少しでも近づくためには、コミュニケーションに基づいた歯科医師と患者との(成人ー成人関係による)共同作業が必要不可欠であるということを、痛切に感じています。
コミュニケーションの語源を手繰ると、「伝達する」という一方的なものではなく、「共有すること・分かち合うこと」だそうですが、そのための手段として口腔内写真やレントゲン写真などの基礎資料は、今でも必要不可欠なものであることに変わりはありません。その一方で、同じような悩みを抱える歯科医師同士で問題を共有するという意味でも、記録資料の持つ意味は絶大です。K先生の業績は数多いですが、後世に記録の重要性を伝承したことが何よりも大きな功績だったのではないかと個人的には思っています。

今月下旬からは、また基本ゼミが始まります。デンティストとは何する者ぞと、これから新たなスタートを切りたいと考えているであろう受講生の先生方には、是非とも読んでいただきたい名文です。


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# by nakadateshika | 2017-03-09 13:00 | 歯科臨床 | Comments(0)