2015年 05月 18日
http://www.wasiduka.com/blog/index.php?no=r14より引用 咬合高径の変化と咬合力の関連性については従来よりさまざまな検討がなされており、Boosは下顎安静位で最大の咬合力を発揮するとし、これは咬合高径に対する判定基準に有用であることを報告している。一方、Boucherらは最大咬合力を指標として求めた咬合高径は、臨床的に求めた咬合高径よりも高い位置にあると報告している。平林、Mackennaらも垂直的な開口量が中心咬合位よりも10mm以上の位置で最大咬合位が発揮されると報告している。 そこで、なぜこのように安静位よりも開口した位置で咬合力が最大もしくは、最も効率よく発揮できるのであろうか。四肢筋では、筋長が静止長(または生理長)にあるとき、筋収縮を行うと筋原繊維を構成するアクチンとミオシン間にクロスブリッジが最も多く出来るので、このとき筋の全張力は最大になることが知られている。 そうすれば、閉口筋についても咬頭嵌合位より10mm~20mm開口した下顎位にあるときミオシンとアクチンのクロスブリッジの形成が最もよく行われる位置であると推察できる。 もしこの推察が正しければ、中心咬合位は、閉口筋が静止長よりかなり短い筋長にあることになる。難い食物を粉砕・臼磨するときにはこの位置よりさらに開口した位置で食物を噛みしめるので、より効率よく力を発揮できる機構になっている。 いいかえれば、生体において中心咬合位は、最大の咬合力・咀嚼力を発揮する下顎の位置ではないが、その位置から少し開口した位置で食物を咀嚼するときに最も効率良く咀嚼力が発揮されるような基準位置に設定されているといえる。そして、筋紡錘の側からみれば、下顎が中心咬合位にあるとき、閉口筋が収縮しているにもかかわらず、決して弛緩することなくある程度の緊張を保つことが出来、この位置から開口することによって筋紡錘が伸張されると、さらに興奮性が高まって下顎張反射を介する閉口筋への入力が高まるような位置であるといえよう”
by nakadateshika
| 2015-05-18 08:41
| 欠損補綴
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