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2016年 03月 19日
適応の幅
適応の幅_e0273912_8253511.jpg「臨床家のためのオクルージョン」の後半部には、河村先生による生理学的見地からみた咬合論が収録されています。

・咬合問題には、歯科補綴学的な臨床の実際に立脚した考え方と生理学的な基礎的な考え方があり、理論と実際が(従来ある意味では)平行線を辿ってきておりました。しかし、これが融合し 一つにならなければ、咬合問題の真の解決は得られないといえましょう。
・生理学は生命現象、すなわち 生きているカラクリを研究する学問です。口のいろいろな働きの背後にあるカラクリ、法則を解明するのが口腔生理学です。
・若い人の場合には、生理的な順応の幅も広いのでそんなに困難でなく、形態学的な理想的咬合の方向に持っていくことが可能です。しかしある程度以上、生理的機能の落ちている年配の方の場合には、慎重に対処すべきでしょう。

咬合論というと、どうしても補綴学的視点に偏ってしまいますが、筋や神経・中枢といった生理学的要因があってはじめて動的平衡が保たれているということを改めて認識しました。補綴設計を考えるうえでも、生理学的な要素への配慮も必要であり、(高齢者のように)適応力や順応性が低下してきている場合には、相応の補綴設計を選択する必要性を感じました。その一方で(先達の臨機応変な補綴設計を拝見すると)、歯科医師としての適応能力の幅や懐の深さに関しては、年齢・経験とともに 益々広がるということをしみじみ感じます。

by nakadateshika | 2016-03-19 19:28 | 欠損補綴・高齢者 | Comments(0)


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