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2016年 06月 22日
咬合崩壊と二次固定
もくあみ会事後抄録「咬合崩壊と二次固定」が、来月初旬 いよいよ発刊予定です。

もくあみ会での形式とは異なり、”若手の悩み”と”ベテランの対応”という二部構成に再編集されていることで、 咬合崩壊症例が抱える多くの問題点と それらに対する二次固定(可撤性義歯)の有効性が明確に対比され、とてもわかりやすくなっていると感じました。一般的な書籍では、治療途中で悩んでいるケースレポートを目にすることはありません。しかし 実際に咬合崩壊症例に対峙するとき、(特に若手にとっては)聞いているのとやってみるのとでは大違いで、多くの悩みを抱えることもあると思います。そんな時、同じように懸命に取り組んでいる若手の症例を通して 悩みを疑似体験をすることはとても有意義であり、また 経験がない人にとっては、自分も一歩踏み出してみようという勇気を与えてくれるのではないかと思います。
一方 後半では、(当日あまり時間がとれずに残念だった)ベテランの先生方に症例を追補していただいたことで、より充実した内容になっています。生体・社会環境・考え方、すべてのものが日々変わりゆくという原理原則に目を背けずに受け入れた時、その変化に追随しやすい手段 すなわち二次固定を優先的に選択していくことの有効性を改めて気づかせてくれる症例ばかりです。なかでも、巻末に収録されている金子先生の特別寄稿は圧巻の一言です。役得で一足先に拝読しましたが、以前にご紹介したDr.Schweitzerの息子が記した言葉が頭によぎりました。
”私は本書を読んで、歯科臨床では 疑問ー観察ー記録を 日々繰り返していくことが何よりも重要であるということを学んだ。そして、その結果をありのままに受け入れ、思惑が外れてしまった結果に対しても 真摯に向き合うように心がけている。真の科学者というものは、自分の考えを打ち破られる(否定される)ことを恐れることはなく、むしろ壊されることによって新たな考えに到達することにこそ 喜びを感じるものだから。”

歯科医療とは何か、歯科医師として何をすべきか?この根源的な問いについて考えない日はありませんが、その答えに近づく大きなヒントを この一冊が示してくれるのではないかと思います。

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by nakadateshika | 2016-06-22 02:10 | スタディグループ・セミナー | Comments(0)


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