週末は、医科歯科連携研修会に参加しました。乳がんとONJがテーマでしたが、どちらも臨床と研究の知見がほどよくミックスされた内容でとてもわかりやすい好演会でした。
”問題は抜歯そのものではなく、感染をさせるかどうかである。”
ONJポジションペーバー作成委員に名を連ねる田口先生のお話は、とても勉強になりました。一旦BP剤治療を開始したケースでは休薬することによる恩恵はほとんどなく、それよりも骨折リスクが高まることの方が問題であるということを何度も強調されていたのが印象的でした。田口先生が推奨されていたONJ予防法は下記の通りです。
・BP剤は休薬しない
・ONJを誘発するような処置を行う際には、抗菌剤の術前投与を行う
・侵襲の程度と範囲は可及的に最小限にする
・処置後の骨は平滑に、術創は骨膜を含む口腔粘膜で閉鎖する
・口腔ケアが極めて重要
※BP剤開始前に、できる限り感染原の除去と口腔ケアを行っておく!
ONJ発生のメカニズムについては不明でしたが、昨年
それに関する論文が出されました。これによると、BP剤によって破骨細胞への分化が阻害され、その代わりとして(骨壊死を引き起こす)炎症性サイトカインを放出するマクロファージが増加することで、ONJが生じる。つまり、マクロファージを増加させるような環境(感染原)を残しておくことはONJの誘因となるということのようです。ただ、抜歯自体が破骨細胞を誘導する処置であるということと、抜歯の創部は大きく、感染リスクが高い処置であることには変わりないので、抜歯を行う場合には充分な注意が必要だということを改めて感じました。