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2016年 02月 26日
What is the goal of oral rehabilitation?
「オーラルリハビリテーションの理想的なゴールは、口腔内の崩壊を食い止め 機能的にも審美的にも完璧な状態に再び戻すことである、と考えている歯科医がいるかもしれない。しかし、人間の心と体は儚い(時の移ろいとともに変化していく)ものであり、完璧な結果を期待することは無茶である ということを謙虚に受け入れるべきであろう。我々歯科医師は、カリエス・ペリオ・欠損の進行の流れを できる限り遅らせるために努力すべきであるが、それは生体力学・生理学の概念に基づいた(反しない)手法によって行うべきである。

補綴物をより永く機能させるためには、術前に最終的な治療目標をイメージすることが極めて重要である。その上で、真剣かつ誠実に治療を行えば 殆どの場合 イメージ通りの治療結果を得ることができる。しかし残念ながら、思い通りにいかないことも希にある。その最も大きな要因は、神経筋機構・心理的問題・免疫などの感受性といった宿主の全身的要因である。

幸いに理想的なオーラルリハビリテーションが達成できたとしても、装着した補綴物は他の臓器と同様 経時的に劣化していくことを肝に銘じ、その後の観察と(必要があれば)修正を必ず行わなければならない。そういう意味では、オーラルリハビリテーションにおいて 明確なゴールというものは存在しないのかも知れない」 

Oral Rehabilitation 1964 Chapter 1

by nakadateshika | 2016-02-26 05:44 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 20日
DEEP OVERBITE 2
e0273912_12114680.jpgかなり分厚い本なので、著者は大学教授だと勝手に思っていましたが、臨床の傍ら 夜な夜な大学に通って博士号を取得したという バリバリの臨床家だったようです。

それもあってか、本の性格としては 教科書的というよりも、ケースレポート集という色合いが濃いようです。ただ、(咬合の話を含めた)オーラル・リハビリテーションという大きなテーマの場合には、教科書だけ読んでいても それこそ雲を掴むような話でイメージが掴めないというのが正直なところです。隅から隅まで翻訳するのは到底無理そうですし、どこまで意味があるのかもわからないので、興味がある症例をピックアップして読み解いていければなと思っています。
ただ、そうはいっても高い山であることにかわりはないので、経験豊富なシェルパ(といったら失礼ですが)のお力を借りて、遭難しないように気をつけながら少しでも 雲の上の頂に近づきたいと思っています。

by nakadateshika | 2016-02-20 12:08 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 19日
原因と結果
e0273912_7534077.jpgまずは、一症例読んでみました。
顎位の診査、治療用義歯による咬合挙上のトライアル、再評価、上下を分けて最終補綴製作、術後の経過観察、といった一連の流れが豊富な資料とともに記載されていました。50年以上も前の話ですから、顎位に対する考え方や材料的な違いからくるギャップはあるものの、治療の流れそのものは 現在にも通じるところが多いことに驚きました。

この症例では、全身疾患や習癖などの影響によって生じたディープオーバーバイトの場合には、補綴スペース確保のために挙上を行ったとしても、時間と共にまた元の高径に戻ってしまうということが示されていました。序文にあった”原因と結果の概念”にも繋がる部分だと思いますが、現症に至るまでのヒストリーを見過ごして問題解決を図っても、あまり良い結果を生じないということを指摘しているように思いました。

資料が増える一方でパニクっていますが、ガンジーの言葉を心の支えに もう少し頑張ってみようと思います。
”Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.(明日死ぬと思って生きなさい。永遠にいきると思って学びなさい)”




1)初診時の状態
  ・47歳 男性(1944年初診) ・著明な咬耗と圧下、臼歯部に欠損 ・クレンチングとブラキシズムの習癖
  ・顔貌のゆがみ ・歯周組織は頑丈 ・関節炎(カルシウム豊富) ・開口障害
2)全身状態
  ・関節リウマチ、痛風、関節炎
3)診断・処置方針・治療経過
  ・ゴシックアーチにより顎位の診断
  ・ハノーキノスコープ(顆路間距離可変半調節性咬合器)を使用
  ・補綴空隙の獲得(下顎前歯に対する歯冠長延長術、咬合挙上)
  ・プロビジョナルにて数ヶ月間経過観察
  ・歯牙の圧下、歯槽骨の吸収
※歯の圧下について
  ・咬合挙上を行った場合、筋が元の長さにまで戻ろうとする力によって義歯と歯牙が圧下する
  ・プロビジョナルでのトライアルが重要
※不足する補綴スペースを得るための手段
  ① 単純に咬合挙上する(安静空隙には元々余裕があるという考えが根拠)→疑わしい
  ② 歯冠長延長術(挙上量を減らすことができる)→歯根長が十分にある場合が適応、抜髄の可能性あり
  ③ 対合歯の切削
  ④ バイトプレート(前歯部の圧下と臼歯部の挺出)
   ・咬合挙上を行うと筋が伸展されるため、元に戻ろうとする力が歯や顎堤に加わる。
   ・歯の圧下や顎堤の吸収などにより、結果的に咬合高径は殆ど元通りになる。
   ・挙上した高さでプロビを数ヶ月間装着し、組織が新しい高径に順応してから最終補綴を行ったのが・・・
4)考察
 ・術後も、神経筋機構、歯牙、顎骨のせめぎ合いは続いた。
 ・プロビジョナルで新たな咬合高径に慣れてもらってから最終補綴に移行したにもかかわらず、術後も咬 
  合高径は下がりつづけた。これは、止むことのない強烈なブラキシズムが原因だろう。
 ・術後、顎位は左側に偏位したように感じられたため修正を行っている。
 ・術後9年で、初診時と同じ高径にまで戻ってしまった。
 ・骨格や筋の長さが変化すると、術後の咬耗や顎位低下に繋がる可能性がある。
 ・若かりし頃の咬合高径にまで挙上してしまうと、筋の力によって歯周組織の崩壊を招きやすい。
5)結論
 ・初診時において、あらゆる組織は経年的に変化しその結果として咬合高径は下がり続けるということを
  踏まえた上で咬合高径を設定すべきだった。
 ・The muscles usually wins.
 綿密な計画のもとに行ったつもりであったが、生体の変化(筋の力)に抗うことはできなかった。
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by nakadateshika | 2016-02-19 18:19 | Comments(0)
2016年 02月 19日
Dr.Schweitzer
e0273912_1040086.jpg第8章に手こずっています。そういえば著者が何歳のときに書かれた本だろうと思って、お得意のgoogleで検索してみました。すると思いがけず、ホームページを発見しました。それによると、67歳の時に書かれた本だそうですが、その他にも彼の経歴があり、86歳まで現役で働かれていたようです。

~序文から~
記録と伝承、それこそが歯科医師としての私のモットーである。これまでに発刊した二つの書籍(Restorative Dentistry、Oral Rehabilitation)では、その二つを実践するために全力を尽くしたつもりである。しかし、理論と実際には大きな隔たりがあることを忘れてはならない。約半世紀に渡って、私は ”観察・比較・考察・記録”を続けてきた。そして、遂にこれまでの歯科医師人生の総決算(結論)をこの本にまとめることができた。一人として同じ患者はおらず、一つとして同じ治療はなかった。これまで多くの成功を味わうことができたが、その一方で多くの失敗にも直面した。これは、”原因と結果”という概念が不足していたからだと思う。
恐らく、自分にとってこれが最後の本になるであろう。構想に3年余り、症例資料の収集に35年余りを費やすことになった。その間 体の衰えもあり、続けることは簡単ではなかった。しかし、我々歯科医師のことを信じている患者のためにという気持ちを支えに、発刊までたどり着くことができた。
歯科医師である限り、共感と思いやりの気持ちを忘れずに学び続けていきたいと思う。

どこかで聞き覚えがあるフレーズもちらほら出てきます。ホームページを見ると初代SCHWEITZERの意志がどこまで受け継がれているのか ?マークが付きますが、幸いにも その強い意志は、海を渡って日本に伝承して いたようです。

by nakadateshika | 2016-02-19 10:40 | Comments(0)
2016年 02月 16日
DEEP OVERBITE
e0273912_1463084.jpgOral Rehabilitationでは、ディープバイトに関する部分に およそ250ページあまりが割かれています。(構成が違うので単純に比較はできないのですが)Dawsonのファンクショナル・オクルージョンは12ページだけなので、Schweitzer先生がディープバイトに対して思い入れがかなり深かったことが窺い知れます。時代的・地域的背景が異なるので、現在の考え方と合致しない部分もあるかと思いますが、これだけの症例数を経験した先生が咬合挙上をはじめとする顎位の変更に対してかなり慎重だったという点については信憑性があるように思います。

by nakadateshika | 2016-02-16 08:29 | Comments(0)
2016年 02月 15日
名こそ惜しけれ
e0273912_818861.jpg昨日のNHKスペシャル「この国のかたち」では、司馬さん独特の日本人論が取り上げられていました。日本が急速な近代化に成功した背景には、鎌倉時代の坂東武士の精神”名こそ惜しけれ”と”公の意識”があったと司馬さんは考えていたようです。その一方で、かつての美しい日本を取り戻すためには周りに流されない”個の意識”も必要だということでした。確かに、名ばかりの政治家たちで溢れる現代社会ですが、選んでいるのは自分達だということを忘れ、文句ばっかりいっているのではなくて、自らが社会や国に貢献していくという意識が必要なんだろうなと感じました。一昨日には、前編があったようなので、そちらも見てみようと思います。

by nakadateshika | 2016-02-15 08:18 | Comments(0)
2016年 02月 14日
余白
e0273912_7505389.jpgここ最近 蔵書は増える一方ですが、集めることに必死で 肝心の知識は一向に増える気配がありません。これでは、仮面ライダーのアイコン集めに熱中している4歳児と変わり映えしないので、まずは最も信頼のおける書籍(臨床ファイルⅢ)からじっくりと読み返してみることにしました。

「歯科医が頭の中で空想を巡らすより、臨床を注意深く見ていく方が間違いない」
「臨床経験を積むほど、自分のもっている知識はきわめて限られたものであり予測は常に困難であることを知らされる。(中略)予知性の名のもとに侵襲を大きくするよりは、経過を見ながら必要な小さな処置を積み重ねていったり、いよいよ問題がはっきりした時点で適切な手を打つことを選ぶようになる」
「できるだけ早い時期から最終形態をイメージして、プロビジョナルレストレーションを最終形態に近づけていくことが望ましい」

以前に読んでいる内容ですが、改めて気付かされるところが多々あります。
また、内容的に秀逸であることは勿論ですが、ヴィジュアルも抜群です。なんでかな? と改めて考えてみると、画像が美しいこともさることながら、”余白”が効いているのではないかと思いました。「プレゼンテーション・zen」にも、”余白はデザインの一部である”と書かれていますが、余白があることで文章・内容に意識が集まります。また、余白の部分は 読者自身の知恵と経験で埋めるべき という著者の意図があるのではないかと、勝手に推測しています。
頭のキャンバスを 人様の知識でギュウギュウ詰めにするのではなくて、自分でやってみる・考えてみることの必要性を改めて感じています。

by nakadateshika | 2016-02-14 16:36 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 11日
スティーブ・ジョブズ
e0273912_16425545.jpgスティーブ・ジョブズの映画が公開されています。

「情報は簡単に手に入る時代になった。あとは、その情報をどう活かすかだ!」
「何かを捨てないと前に進めない。」
「製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せてもらうまでは、自分が何が欲しいのか分からないものだ。」
「未来を見て、点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつか点は結ばれると信じなければならない。」

人間的には、色々と難しいところがあったといわれるスティーブ・ジョブズですが、その功績は誰もが認めるところです。ジョブズといえばプレゼンターとしても比類無き存在ですが、その舞台裏が明かされる とのことですし、監督は「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイルですので期待が持てます。アメリカでは賛否両論あるようですが、時間があれば見に行ってみようと思います。

・・・ただ、早速ご覧になった方によると 期待外れの内容だった模様です。前評判やネットの口コミを信用せず、自分の目で確かめてから紹介すべきだったと反省中です。。情報の取捨選択もなかなか難しいものですが、自分もガセネタをばらまかないように注意したいと思っています。

*ちなみに静岡市ではまだ上映していませんのでご注意ください(3月からシネ・ギャラリーで上映予定)。

by nakadateshika | 2016-02-11 16:47 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 02月 10日
歴史的書籍のライブラリー
e0273912_7553132.jpg海外のアマゾンにまで手を出して漸く手に入れた書籍でしたが、今朝ネットで検索していたら医科歯科のホームページでPDFが無料公開されていてビックリしました。結構なお値段だったので正直ショックを隠せませんが、本は実物でないとね! と無理矢理心を落ち着けています(PDFを印刷すればよいという話もありますが・・・)。
このホームページでは、他にも歴史的名著がたくさん紹介されています。早速、全てダウンロードしましたが、味のあるイラストが盛りだくさんですので、ご興味がある先生は是非ご覧になってください。

by nakadateshika | 2016-02-10 07:54 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 08日
咀嚼器官の相互的防御機構
e0273912_14131397.jpg咀嚼器官は①歯②歯肉③付着器官(セメント質・歯槽骨・歯根膜)④顎関節⑤神経・筋からなる。これらの器官は、相互的防御機構によって正常な咀嚼機能を維持している。

局所的な問題であっても 全顎的な要素が関連し、全顎的な問題であっても局所的な要素が関連していることが端的に表されているように思います。

by nakadateshika | 2016-02-08 17:52 | 欠損歯列 | Comments(0)