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2016年 05月 29日
設計の心得
e0273912_1012218.jpg「村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界」より
”どうしたら人間に対して、人間が生きる方向にそった設計ができるかということ、これを終始一貫考えています。そのときどき、空間の取り方、空間の刻み方、連続の仕方、それから空間がどうつながるかということから、いろいろな材料を組み合わせて、その陰影がその面から発する一つの影がどうなるかということ、それからその端々のこと、ものの切れ間、それと空間とのつながりというようなことを考えて、どうしたら人の心に良い影響が与えられるかということですね。”
”村野は自分の設計した建築が都市や自然の中に出ていくことによって、必ずそこを悪くしていくという原罪意識が常にあったのではないか。その罪を軽くするためには建築をどうしたらいいかということを、一生懸命考えて(工夫して)デザインしていたのではないか。”

この方のことは全く存じ上げませんでしたが、自然に対する敬意と恐懼を抱きつつ 謙虚な姿勢でお仕事をされていたことを窺い知ることができます。罪というのは言い過ぎかもしれませんが、欠損歯列に対する補綴設計においても 参考になる部分が多いような気がします。

ちなみに、村野さんはしばしば「たたずまい」という表現をされていたようです。 
”補綴物のたたずまい”の重要性については 村野さんが設計されたビルの中で耳にしたことがありますが、確かにその通りだと感じています。ただ、その前に自分の居ずまいを正すことも大事だと思い、朝から箒を持って掃除をしてみましたが、とても気分爽快です。

by nakadateshika | 2016-05-29 19:00 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 05月 28日
禅と日本文化
e0273912_1545713.jpg”大略すれば、知識には三種ある。
第一は、読んだり聞いたりすることによってうるものである。われわれはこれを記憶して、平素 重要な所有物として持っているもので、いわゆる知識の大部分はこの種のものである。われわれは地球上をくまなく歩きまわって、親しくこれを調査する訳にはゆかない。ゆえに、世界の知識については、他人が備えてくれた地図に頼る。
第二の種類の知識は 科学的と普通いわれているもので、観察と実験・分析と推理の結果である。それは前者より強固な基礎を持っているが、ある程度、体験的で経験的なところがあるからであろう。
第三の種類の知識は直覚的な理解の方法によって達せられるものである。”

歯科臨床(診断)では三種すべての知識が必要ですが、其の習得は容易なことではありません。

by nakadateshika | 2016-05-28 15:46 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 05月 26日
頑張りすぎない
e0273912_07575330.jpg白隠作の慧可断臂図(えかだんぴず)です。

どんな道でも努力と覚悟は必要だが、自分の身を犠牲にするのはいかがなものか、と教えてくれているようです。
おまえはもっと頑張れよ、と怒られそうですが・・・

今秋には東京国立博物館で、禅画の展覧会があるようなので機会があれば行ってみようと思います。

by nakadateshika | 2016-05-26 08:00 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 05月 23日
ズートピア
e0273912_814128.jpg「クレヨンしんちゃんより(断然)面白かったね!」
2時間余りの長時間 飽きもせずに見終えた4歳児のコメントですが、アナ雪を越える程の人気があるというのも頷ける 完成度の高いエンターテイメント作品でした。

・いろんな動物(ヒト)がいるけれど、それぞれの違いを認め合ってお互いに尊重しないといけない。
・自分の意志で変えられるのは自分だけなのだから、周り(環境)を変えたければ まずは自分が変わらなければならない。
・try everything:なんでも やってみよう

大人が観てもそれなりに学ぶところがあります。プレゼンなどでは、聞き手がどんな人達なのかをしっかり意識することが重要だと言われますが、国籍や年齢を問わず万人受けするストーリーがしっかりとできていて、素直に凄いと感じました。


by nakadateshika | 2016-05-23 08:14 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 05月 20日
天使か悪魔か
e0273912_7213825.jpg先日のNHKスペシャルでは、人工知能の現在と未来について特集されていました。囲碁では世界王者に圧勝、がんの発見、渋滞の緩和など、人工知能の能力は 目まぐるしいスピードで進化しているようです。そして今後は、人工知能に心を持たせるというプロジェクトも進められているということでしたが、自分にとっては ホラー映画よりもよっぽど怖い1時間でした。

人間の欠点として、いつの間にか目的と手段が入れ替わるということが以前から指摘されています。囲碁の人工知能(アルファ碁)の開発者は番組の中で、人工知能によって人間が今まで解決出来なかった問題を解決したい、とコメントしていましたが、その目的はどこか後付け的で、むしろ人工知能という手段を進化させることに熱中しているようにしか感じられませんでした。

そして最も恐ろしかったのは、ある研究者のコメントです。
”人工知能は、目的達成のために手段を選びません。もし目的を達するために人間が邪魔であれば、彼らは躊躇なく人間を攻撃するでしょう。彼ら(人工知能)は 人間に敵意を持っているわけではありません。人間に関心がないだけなのです。”

by nakadateshika | 2016-05-20 07:49 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2016年 05月 17日
欠損歯列のみかた
e0273912_8253552.jpg先週末は、基本ゼミに出席しました。一日目は、受講生達が今悩んでいる欠損歯列の症例を持ち寄って、”欠損歯列のみかた”についてディスカッションを行いました。

集まった症例は、誰がやっても難しいケース、見た目以上に難しいケース、難しそうにみえてそうでもないケースなど様々でしたが、受講生達の悩みは総じて 全体的な方向性が掴めないということでした。確かに欠損歯列では、数多くの問題がまんじ巴のように複雑に絡み合い、一つ一つの部分的な要素に気を取られすぎると、全体像を掴むことが難しくなります。ベテランの先生であれば、過去の経験に基づいて個々の症例を無意識的に分類し、全体像を掴んで方向性を決めていくことができるのだと思いますが、若手にとってはなかなか難しいステップです。そういう点で、先人達の経験が集約されている KA367と欠損段階に応じたデンチャーイメージ(補綴設計のイメージ)の活用は、全体像の把握、問題点の整理を行っていくうえで、(特に若手にとって)大きな味方になってくれるものだと感じました。

二日目は、欠損歯列の経験豊富なS先生とI先生が ご自身の臨床例をもとに 欠損歯列への対応についてお話されました。一つ一つの処置の美しさ(特にS先生の左下犬歯のプレパレーションは何度みても鳥肌もの)についつい目を奪われてしまいがちですが、全体像を押さえながら プロビジョナルで個人差・個体差を確認し 最終補綴へとつなげていく、というステップこそが 欠損歯列においては極めて重要であるということを改めて感じました。欠損歯列における三つの味方(KA367・デンチャーイメージ・プロビジョナル)をうまく使いこなすことで、両先生方に少しでも近づけるようになりたいと強く感じました。

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by nakadateshika | 2016-05-17 18:18 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2016年 05月 03日
EPILOGUE
e0273912_1644829.jpg歯科医療は、非常にやりがいのある職業である。しかし、一つ一つの処置に対する原因と結果を見定めるためには かなりの時間を要するという制約があり、歯科医師一人の職業寿命という限られた時間の中で 歯科医学という深遠膨大な世界をすべて見渡すことは絶望的なことのように思われる。しかし 私にとっては、探求の旅 それ自体が想像以上に面白く、その足を止めることができなかったのである。今の若き歯科医師達が、私の臨床姿勢を引き継ぎ この探求の旅を続けてもらえるのであれば、望外の喜びである。

その意志を引き継いだ息子(Robert Schweitzer)は、こんなことを書いています。
”私は本書を読んで、歯科臨床では 疑問ー観察ー記録を 日々繰り返していくことが何よりも重要であるということを学んだ。そして、その結果を(先入観や偏見に惑わされずに)ありのままに受け入れ、思惑が外れてしまった結果(理論と実際とのギャップ)に対しても 真摯に向き合うように心がけている。真の科学者というものは、自分の考えを打ち破られる(否定される)ことを恐れることはなく、むしろ壊されることによって新たな考えに到達することにこそ 喜びを感じるものだから。”

by nakadateshika | 2016-05-03 08:07 | 咬合論 | Comments(0)