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2017年 09月 28日
動的平衡論からみた欠損補綴
e0273912_837122.jpg”サスティナブル(持続可能性)とは、常に動的な状態のことである。一見、堅牢強固に見える巨石文化は長い風雨に晒されてやがて廃墟と化すが、リノベーション(改築改修)を繰り返しうる柔軟な建築物は、永続的な都市を造る。”

"動的平衡にあるネットワークの一部を切り取って他の部分と入れ替えたり、局所的な加速を行うことは、一見効率を高めているかのようにみえて、結局は動的平衡に負荷を与え、流れを乱すことに帰結する。”

インプラントを否定するつもりはなく、状況によってはとても有効な手段だと思います。ただ、インプラントによって強固な咬合支持が得られる一方で、その背景には隣在歯や対合歯、顎関節や咀嚼筋などの適応力に依存していることを忘れてはいけないのではないかと考えています。そしてその適応力は、歳とともに低下していくということも。。
今回「動的平衡」に関する書籍を読んでみて、インプラントを選択する場合には、欠損の流れや、その使い方について極めて慎重に検討すべきであるということを改めて感じました。

by nakadateshika | 2017-09-28 08:37 | 欠損歯列 | Comments(0)
2017年 09月 22日
絶対矛盾的自己同一
e0273912_6502434.jpg基本ゼミでも話題になっていた福岡先生の書籍を読みはじめました。絶対矛盾的自己同一、逆限定、純粋経験などなど、西田哲学特有の難解用語のオンパレードでパニック状態ですが、その背景には(西田幾多郎の盟友)鈴木大拙が体現していた「禅」の概念が、色濃く存在しているように思えます。

(哲学や宗教についてはズブの素人ですが)動的平衡論からみた西田哲学を自分なりに解釈してみると、この世界は「一即多、多即一」で成り立っていて、生物も無生物もありとあらゆるものはお互いに影響し合い、時間とともにゆらぎながらも絶妙なバランス(動的平衡)を保つことで成り立っている、と理解しました。

また、この本の中では「あいだの関係性(相互依存性・相互形成性)」が重要視されていますが、そういえば欠損補綴もまさに「生物と無生物とのあいだ」がテーマです。そう考えると

”生命がエントロピー増大の法則に抗う唯一の方法とは、生命システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろ、そうした仕組み自体をエントロピーの流れの中に置くだけのことだった。”

という一文がクローズアップされてきます。そういった概念の中で歯科医療はどのような役割を果たせるのか、あるいは果たすべきなのかといったことは非常に難しいテーマですが、考えなければならないテーマであろうと思います。

”人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾いく道を 吾は行なり(西田 幾多郎)”

こういった本ばかり読んでいるのはどうなのか?と思う時もありますが、自分なりのスタンスで歯科臨床に向き合っていきたいと考えています。

by nakadateshika | 2017-09-22 23:31 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)
2017年 09月 22日
病態を評価する
e0273912_1694877.jpg病態を評価する。一見すると平易な文章ですが、改めて考えると奥が深く、その本質を理解することは容易なことではありません。まだ十分に理解できているとは思えませんが、自分なりに考えをまとめてみたいと思います。

(ものの本によれば)物事の認識プロセスには、全体的に丸ごと感じ取る「直観」と、様々な属性に分けることで理解しようとする「分析」との2種類があるようです。経験の蓄積によって「直観」は向上しますが、あくまで主観的なものであり、その感覚を言葉で説明することは非常に困難です。

一方「分析」とは、複雑な対象を部分的な要素(属性)に分けることです。これによって理解がしやすくなり、言葉による説明や、他との比較も可能になります。ただし、分析という行為には「はかる」ことが必要で、そのためのものさし(単位・尺度)が必要となります。また、単位はあくまで一部の属性を示すもので(他の要素は切り捨ててしまうので)、その単位によって何を比較したいのか、つまり何を評価したいのかということが、ものすごく重要になります。

それでは、欠損歯列の病態とは何なのか?そして、欠損歯列をどういった尺度(value)で評価(evaluate)すればよいのでしょうか?

by nakadateshika | 2017-09-22 07:21 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2017年 09月 19日
欠損歯列のみかたと処置方針
e0273912_17133125.jpgこの連休は、臨床基本ゼミでした。一日目は受講生から集められたお悩み症例を題材に、「欠損歯列のみかたと処置方針」についてディスカッションを行いました。今年は例年以上にヘビーな症例が多く、自分もその答えを教えて欲しいんですけど・・・というようなものばかりで、どのような方向性でまとめるべきなのか、N先生と一緒にとても悩みました。

道に迷った時には、「google map」を使うことが多くなりました。交通手段に応じて、その経路や時間などがあっという間に分かるのでとても便利ですが、その設定には現在地と目的地の入力が必要です。欠損歯列を考える場合においても、現在どのような位置にいて、どこを目指すべきなのか?という意識は、とても重要なのではないかと思います。

そこで今回のパートでは
1.欠損歯列の病態を評価する
2.欠損歯列の流れを読む
3.治療目標を設定する
といったことについての、考え方を知ってもらうことを目標にしました。

by nakadateshika | 2017-09-19 17:13 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2017年 09月 02日
氷壁
e0273912_832266.jpg果たして、ナイロンザイルは切れたのか、切られたのか?

先日ご紹介されていた、「氷壁」を読み始めました。女性関係、友人関係、そして自らの命を繋いでいたナイロンザイルを巡る人間ドラマに、すっかり魅了されています。山のことはさっぱりなところもありますが、哲学書などに較べればはるかに読みやすく、グングン読み進んでいます。

「哲学と科学とを繋ぐものは文学である」と澤瀉先生も書かれていますが、これまであまり文学には親しんでこなかったので、これからは意識的に読んでみようと思っています。



※読後感
主人公の上司で人生哲学を語るT、その一方で友人の愛人の夫という微妙な立場でありながらも、科学的な目線に徹するエンジニアY。井上靖が京大哲学科出身ということも関係しているのかもしれませんが、ナイロンザイルに纏わる事件、あるいは主人公の生き方に対して、哲学的視点と科学的視点とを異なる登場人物に分けて語らせているところが、とてもわかりやすく、また興味深く感じました。

by nakadateshika | 2017-09-02 08:03 | 書籍・映画・テレビ | Comments(0)