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2016年 02月 14日
余白
e0273912_7505389.jpgここ最近 蔵書は増える一方ですが、集めることに必死で 肝心の知識は一向に増える気配がありません。これでは、仮面ライダーのアイコン集めに熱中している4歳児と変わり映えしないので、まずは最も信頼のおける書籍(臨床ファイルⅢ)からじっくりと読み返してみることにしました。

「歯科医が頭の中で空想を巡らすより、臨床を注意深く見ていく方が間違いない」
「臨床経験を積むほど、自分のもっている知識はきわめて限られたものであり予測は常に困難であることを知らされる。(中略)予知性の名のもとに侵襲を大きくするよりは、経過を見ながら必要な小さな処置を積み重ねていったり、いよいよ問題がはっきりした時点で適切な手を打つことを選ぶようになる」
「できるだけ早い時期から最終形態をイメージして、プロビジョナルレストレーションを最終形態に近づけていくことが望ましい」

以前に読んでいる内容ですが、改めて気付かされるところが多々あります。
また、内容的に秀逸であることは勿論ですが、ヴィジュアルも抜群です。なんでかな? と改めて考えてみると、画像が美しいこともさることながら、”余白”が効いているのではないかと思いました。「プレゼンテーション・zen」にも、”余白はデザインの一部である”と書かれていますが、余白があることで文章・内容に意識が集まります。また、余白の部分は 読者自身の知恵と経験で埋めるべき という著者の意図があるのではないかと、勝手に推測しています。
頭のキャンバスを 人様の知識でギュウギュウ詰めにするのではなくて、自分でやってみる・考えてみることの必要性を改めて感じています。

by nakadateshika | 2016-02-14 16:36 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 12月 22日
テレスコープの臨床的評価
e0273912_1850099.jpg幸田露伴の本にも解説本がいくつかありますが、本物の雰囲気、迫力は原文を読まなければ伝わりません。あくまで自分のために整理していますので、できれば原文をお読みいただくことを強くお勧めします(パーシャルデンチャー:歯科評論別冊1981)。※文章が難解だということでは決してありませんので、悪しからず・・・

Ⅰ. パーシャル・デンチャー装着の功罪
欠損部が大きくなることにより生ずる問題は、装置または補綴物の動揺であり、残存歯だけでなく顎堤に対してもそれを最小にすることを、まず考えねばならない。床の動揺は顎堤の吸収を著しく速めるが、顎堤の吸収はそれ自体が問題であるだけでなく、二次的に残存歯を動揺させる結果にもなるからである。

Ⅱ. パーシャルデンチャーの動揺
補綴物の動揺は、動きの性質とその量とに分けて考えることができる。(中略)補綴側の欠損形態は力の性質に、対向関係や嵌合位の安定性は力の量に、密接な対応関係をもっており、その積により義歯の安定性や予後は左右されるが、一般的に後者の方が大きな影響をもっている。

Ⅲ. 力のコントロール(加圧と受圧)
義歯の動揺に対する臨床的対応策は、咬合状態の改善などによって、発生する力をコントロールすること(加圧)と、その力を支台装置や義歯床を介して、歯牙と顎堤に配分負担させること(受圧)に大別される。(中略)
(全顎的な処置が必要な場合にも)代償と改善効果を対比の上で、クラウン・ブリッジや総義歯で要求されるようなバランスのとれた咬合関係に再構成すべきである。この場合、オーバーデンチャーのように、すべての咬合面が可撤部側にある形式の方が、クラスプ・デンチャーのように固定性の部分と可撤性の部分に二分するより咬合接触関係のバランスも崩れにくく、製作上や術後の点検上からも有利になる。

Ⅳ. テレスコープの臨床的評価
1.単独の支台装置として
1)理想的なレスト
咬合することによって外冠は内冠に圧着されるので、SupportがRetentionの補佐をする、しかも軸面はすべてBracingの役を果たすので、ごく少数歯の場合以外は、内外冠のフリクションをそれほど強くしなくても、患者は不自由を感じず、S>B>Rという望ましい性格が形成されやすい。
2)単純な構造・形態
3)優れた清掃性
4)歯冠形態の改善
2. パーシャルデンチャー全体として
  1)固定効果:Rigid Support
  2)単純な全体の形態
  3)製作工程上の利点

Ⅴ. 経年変化への対応
きめ細かな検討のすえ設計された補綴物であっても、所詮生体の変化に追従することはできない。したがって、装着後に起こるであろう変化を予測し、それを最小とするために、またその後に補綴物が生体の退行性の変化を加速することがないように配慮することが、生体側とのギャップを少なくする有効な手段である。(中略)パーシャルデンチャーの装着は、補綴的なオペの開始を意味するものであって終了ではない。設計がヨコの診断とするならば、アフター・ケアーについての計画がタテの診断で、この2つが組み合わされて、局部義歯補綴が1つの治療としての意義をもつものであろう。

by nakadateshika | 2015-12-22 18:47 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 12月 22日
ハードル
e0273912_713975.jpgこのところ、お手本ブログでは 重厚感溢れる記事が連投されています。無数の個歯トレーや、トレーサーが何個もついたパントグラフが付いた咬合器などをみるだけでも、術者の全力投球ぶりを窺い知ることができます(汗をかくとはこういうことか!と思い知ります)。このような、実体験に基づいた臨場感溢れる記事を拝見すると、他人のフンドシでしか記事を書けない このブログの無意味さを感じずにはいられませんが、ハードルの高さを調整して 身の丈にあった内容で続けていきたいと思っています。

支台装置については、SとBの重要性を再認識しています。そういう目で見ると、左図のようなエーカース鉤、RPI鉤を見ると、レストがいかにも 頼りないという印象を受けてしまいます。もっとしっかりとしたレストシート、できればミリングも、と考えていくと支台歯への前処置(切削量)は相当量必要になります。そうすると、最終的にテレスコープにたどり着くことが多いというのは合点がいきます。ただ、テレスコープを自在に使いこなすためには、越えなければならないハードルが、いくつかありそうです(自分世代の歯科医師・技工士のテレスコープ経験値、固定性の希望、金属料金の高騰など)。

by nakadateshika | 2015-12-22 07:13 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 12月 19日
支台装置のい・ろ・は
e0273912_19211167.jpg・必読ブログ記事:維持装置と支台装置(土竜のトンネルにリンク)

大学にいた頃は、何の考えもなく維持装置と呼んでいました。支持要素が一番重要であることを教わってからは、形だけ真似て支台装置と呼ぶようにしましたが、その真意はまだまだ理解できていないようです。上のブログ記事は何度も読んだつもりでしたが、改めて読むとまた新鮮でした。

※自分でも似たような画像を作ろうかと思いましたが、余りにも完成度が高く 格好良いので、そのまま拝借してしまいました。すみません。。

と思っている矢先にニューバージョンがアップされていました。ブログの形だけは真似ていますが、内容はまさに月とスッポン。足下にも及びません。。個人的には、喫煙バージョンに一票投じたいと思います。

その後 来年の干支であるお猿さんでも見てこようと、日本平動物園に行ってきました。孫悟空には会えませんでしたが、よい気分転換になりました。帰ってきて 先ほどのブログ記事を改めて見てみると、十二分にわかりやすい解説が補足されていて ビックリ!しました。自分にとってこのお方は、孫悟空どころか、三蔵法師、いやいや釈迦如来のような存在です。いずれにしても、天竺までの道のりは、まだまだ歩み始めたばかりだということを痛感せずにはいられません。

by nakadateshika | 2015-12-19 18:13 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 12月 19日
支台装置のデザイン
e0273912_64269.jpg可撤性義歯では、適切な支台装置を設定し 義歯の動揺を最小限に抑えることが重要です(*義歯が動揺すれば嵌合位は変化する)。テレスコープ義歯は、使用感、経年変化への対応、清掃性、リジッドサポートなどの点で優れていますが、その一方で技工精度、歯質の切削量、費用などの問題があり、全ての症例で使用することはできません。そのような場合には、支台装置としてクラスプを選択することになります。基本的にはエーカースクラスプを選択していますが、クラスプの種類や特性、求められる要件など復習してみようと思います。

”クラスプは支台装置として最も多用されており、パーシャルデンチャーといえばクラスプデンチャーをイメージして語られる。しかしながら、クラスプに対する認識は、日常化した補綴方法という安易さが優先していないだろうか。クラスプデンチャーによって、欠損歯列の治療目標を達成するには、設計に応じた鉤歯への前処置、機能に応じたクラスプの構成が必要である。”(クラスピング)

1.環状型クラスプ(例:エーカース鉤、双子鉤、Gクラスプ)
2.バー型クラスプ(例:RPIクラスプ)

by nakadateshika | 2015-12-19 05:23 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 12月 18日
判断と実行と
e0273912_12352912.jpg”どんな仕事でも、仕事をやるからには判断が先立つ。判断を誤れば、せっかくの労も実を結ばないことになろう。しかし、お互いに神様ではないのだから、先の先まで見通して、すみからすみまで見極めて、万が一にも誤りのない100%正しい判断なんてまずできるものではない。できればそれに越したことはないけれど、100%は望めない。それは神様だけがなし得ること。お互い人間としては、せいぜい60%というところ。60%の見通しと確信ができたならば、その判断は概ね妥当とみるべきだろう。その後は、勇気である。実行力である。いかに的確な判断をしても、それをなしとげる勇気と実行力がなかったなら、その判断は何の意味も持たない。勇気と実行力とが、60%の判断で、100%の確実な成果を生み出していくのである。60%でもよいから、お互いに、謙虚に真剣に判断し、それを100%にする果断な勇気と実行力とを持ち続けてゆきたいものである。”(道をひらく)

かつて、東大の沖中教授が誤診率14%と発表し、世間はそんなに高いのかと思い、医者はそんなに低いのかと驚いたというお話があります。(歯科、特に補綴における診断とは何なのか、という問題もありますが、)補綴した時から、口腔内も体も社会環境も日に日に変化しているわけで、ある一時期だけを見て100%の正解を導きだすことは非常に難しいことです。さらに、(咬合高径・顎位・咬合平面の変更といった)全顎的な再構成を行った場合には その変化量はさらに大きくなったとしても不思議はありません。そういった意味で、(難しいことではありますが)補綴後の状態を見通した上での判断が必要であると思うのと同時に、避けられない経年的変化に対応できる状態にしておくことが大事なのではないかと思います。
ただその一方で、判断(診断)と実行(処置)の精度をでき得る限り上げなければいけない、ということは言うまでもありません。

by nakadateshika | 2015-12-18 07:27 | 歯科臨床 | Comments(0)
2015年 10月 17日
目線
e0273912_4392071.jpge0273912_547133.jpg
コーヌス・テレスコープの現在:残存歯の数と配置の項を読んでいて、受圧と加圧のバランスをイメージするうえで、左のようなハリの模式図はわかりやすいと感じました。
KA367では、さらに支台歯の状態(予後不安な歯は小文字)、歯種特異性(犬歯・大臼歯)などが織り込まれていることで、より口腔内の状況に近いハリの構造をイメージしやすくなっているのではないかと思いました。
右図は、最近使用しているスライドフォーマットですが、KA367、パノラマ、上下咬合面観が含まれていて、1枚で横から、上から 様々な目線で欠損歯列を捉えることができるのでわかりやすいと感じています。

by nakadateshika | 2015-10-17 04:39 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 10月 13日
オーバーデンチュアの臨床
e0273912_729385.jpg幸運にも、とある筋から貴重な文献をいただきました。40年ほど前(僕が生まれた年)に行われた座談会ですが、いよいよ古くしていよいよ新、といった印象です。30ページ近いものなので、まだ全部は読んでいないのですが、ざっとみただけでも気になるフレーズが満載です。時間をかけて読んでみようと思います。

”顎は患者の一生を通して、正常な状態でも少しずつ変化するわけです。このように義歯のまわりの環境は絶えず変化しているわけですから、義歯がそういう変化に対応できる性質を備えていることが望まれます”

”1つのかたまりになっている義歯と支台歯とをどういう形で結びつけるかということで、大体がっちり固定をするか、完全に圧を抜くかいずれかで、中間のスプリング等を使ったものはナンセンスだと思います(中略)義歯の動きが支台歯の生理的な動きの範囲内に収まるようにすれば、がっちり固定をしていいということになります”

by nakadateshika | 2015-10-13 07:30 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 10月 09日
コーヌス・テレスコープの現在
e0273912_7223883.jpg楡井先生の論文を読んでみて、二次固定の問題点・難しさ(技工・処置)について、改めて勉強したいと思いました。

1986年(グノーシス出版) 

”アンダーカットと金属などの弾性を使う多くの維持装置に比べ、テーパーをつけたクラウンの軸面を利用してくさび効果で維持力を得るコーヌス・テレスコープは、これ以上ないシンプルな機構と形態で、臨床的には数々の長所を持っている。しかしそれを正しく生かすためには、前述したように技工面で極限的な精度の追求が必要になる”

”「癒せる」「残せる」「残せる」「守れる」歯牙を確実に保存していくことが大事なのだと考える。それをどうやって判断するかは、今のところ全くわからない。とすると、あくまでもいわゆるfinal restorationではなくいつでも状態の変化に対応できる補綴という意味で、コーヌス・テレスコープというのは、なかなか理にかなっていると思われる。 ただし、作るのが難しいのは昔も今も変わらない(支台歯の歯周処置から引用)”

by nakadateshika | 2015-10-09 07:23 | 欠損歯列 | Comments(0)
2015年 10月 07日
動揺歯の補綴を考える(後編)
e0273912_6394236.jpg待望の後編が発売されました。QDT10月号(クインテッセンス出版)

一次固定・二次固定の5W1H*、その答えが全て というと言い過ぎかもしれませんが、そのエッセンスが凝縮されている内容です。一次固定・二次固定とは何なのか、その利点・欠点、選択基準などが、症例の経過を通じてまとめられており、とても勉強になりました。特にプロビジョナルでの検証が重要であることを改めて感じました。

欠損形態・技工精度・患者の希望などもあり、二元論では語れないテーマだと思いますが、”高齢者では変化への適応力が低下する(日本老残)”ことから考えると、生体の変化に対して補綴物を調整・修正することで 適応力を補うことができる二次固定の良さを感じました。

*5W1H(固定という表現が不適切かもしれません。。)
①What :一次固定と二次固定とは(定義)
②Why :何故、何のために固定するのか(固定の目的)
③Where:どこまで連結するのか(固定の範囲)
④When :いつ固定が必要と判断するのか(固定の時期)
⑤Who :設計はだれが決めるのか(設計の決定権(歯科医師・患者・技工士))
⑥How :どうやって固定するのか、どうやって支台歯と義歯とを一体化するのか(固定性と可撤性)
(⑦Whom:どのような患者に対して行うのか(年齢など))

by nakadateshika | 2015-10-07 06:41 | 欠損歯列 | Comments(0)