すれ違い咬合では、構造的因子と制御因子の条件が 症例の経過を左右することが示されています(*1)。
構造的因子とは、顎堤・顎間関係・歯牙(支台歯)・歯周組織などで、所謂 加圧因子・受圧条件というものもここに入ると思います。一方 制御因子は、神経、筋肉など咬合力をコントロールする組織で、咬合力・顎位・パラファンクションなども含まれると思います。
このような様々な要素のバランスが取れていない場合には、義歯の激しい回転沈下という結果となって現れ、明るい予後は見込めない状況となります。そして、その状況にまで陥ってしまっている症例であれば、足す改変・減らす改変といった選択肢が有効となり、その選択にも充分 妥当性があると言うことになリます。その一方で、歯式上は厳しいそうに見えても 他の諸条件に恵まれていれば、必ずしも欠損の改変が必要ではない場合も存在します。
そこで、構造的因子・制御因子の各要素と、義歯の動態とを既往歴を踏まえて考えることによって、症例の難易度を見極めることが非常に重要だと思います。
*1:すれ違い目前の5症例から