これまでクリントイーストウッドの映画はあまり見たことがなかったのですが、人間味溢れるドラマティックな内容で ものすごく面白かったです。
本作は、2009年にニューヨークで実際に起きたハドソン川不時着事故が元になっています。離陸直後のエンジントラブルにより、空港にターンバックするのか、はたまたハドソン川へ不時着するのか、機長はこの難しい判断を迫られます。40年以上の経歴を持つベテラン機長は、目視や機体感覚などから直観的にターンバックは不可能と考え、不時着を決断。その英断によって、乗員乗客155名が無事生還し一時は国民的英雄ともてはやされます。しかしその後、諮問委員会から機長の選択が正しかったのか(ターンバック可能だったのでは)?という疑惑の目を向けられ、機長の立場は 英雄から容疑者へと一変します。
現場の感覚を元に判断を下した機長と、電子機器のデータや機械的なシミュレーションの結果を盾に機長を冷徹に追い詰める諮問委員会、そのバトルが、人間 対 機械(人工知能)という構図に見えてきてとても楽しめました。
”そう遠くない将来、人工知能の開発が進み、単純な労働だけではなく、様々な仕事がコンピュータやロボットに取って代わられるとも言われています。あなたはどの仕事が人間の仕事として残ると思いますか。その仕事をひとつあげて、その理由を150字程度で説明しなさい。”
最近の中学入試ではこんな問題が出るそうです。交通事故だったり、薬の取り違えなどのニュースを見ると、人間であるが故に・・・という感も否めないのですが、そうかといって機械任せというのもまた違う気がします。仕事とは何なのか、人間とは何か、小学生に問題を出す前に、まずは大人が問われるべき問題のような気がしてなりません。