2017年 03月 09日
デンティスト
e0273912_13253730.jpg分館への配送が概ね完了しました。無類の本好きにとっては名著に囲まれているだけでルンルン気分ですが、それでは宝の持ち腐れになってしまうので、少しづつでもご紹介していきたいと思っています。

こちらは、1975年に創刊された歯科雑誌・デンティストです。「患者とのコミュニケーションを考える〜開業医・その現実と未来〜」というテーマの中での記事ですが、(顔写真を除いては)40年以上前のものとは思えない内容で、今読んでみても心にズシンと響きます。

”もともと病気に悩む人々を救うための学問であったはずの医学の進歩が人間のあり方についての理解を混乱させ、先行きについての戸惑いや、一種の恐怖感が生まれはじめているようにも思われます。(医者と患者と病院と)”

40年前から見れば、診断機器や治療技術は飛躍的に進歩しました。それとともに、歯の保存や機能回復を図る選択肢も大幅に増加しましたが、果たしてどこまで機能回復することが医療なのか?という問題は、超高齢化社会という難題も抱えた現代ではより一層難しくなっているのではないでしょうか?恐らくその問題についての絶対的な答えというものはなく、より個別性が重視されてきているように思いますが、その答えに少しでも近づくためには、コミュニケーションに基づいた歯科医師と患者との(成人ー成人関係による)共同作業が必要不可欠であるということを、痛切に感じています。
コミュニケーションの語源を手繰ると、「伝達する」という一方的なものではなく、「共有すること・分かち合うこと」だそうですが、そのための手段として口腔内写真やレントゲン写真などの基礎資料は、今でも必要不可欠なものであることに変わりはありません。その一方で、同じような悩みを抱える歯科医師同士で問題を共有するという意味でも、記録資料の持つ意味は絶大です。K先生の業績は数多いですが、後世に記録の重要性を伝承したことが何よりも大きな功績だったのではないかと個人的には思っています。

今月下旬からは、また基本ゼミが始まります。デンティストとは何する者ぞと、これから新たなスタートを切りたいと考えているであろう受講生の先生方には、是非とも読んでいただきたい名文です。


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by nakadateshika | 2017-03-09 13:00 | 歯科臨床 | Comments(0)


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