2017年 06月 07日
診断力は臨床力
e0273912_6155558.jpg”総合診断は、自分の医療の鏡像としても機能し始めた。我々は、鏡に映った自分の全体像を見て、初めて統一性のある自分を発見できるように、総合診断という全体像を通して自分の医療の実態を知ったのである。そして同時に、医療の対象である患者の全体像を知ることにもなった。(火曜会かわら版)”

診断(総合診断・臨床診断)に、何を求めるのか?それによって色々な捉え方はできると思いますが、自分としては三宅先生の書かれているイメージがシックリきています。歯科臨床では、患者要素、術者要素、環境要素、さらに時間的要素まで加えると、客観的で絶対的な診断を下すことが極めて難しい、というよりほぼ不可能とさえ思えてきます。ただ、自身の臨床が渾然一体となった臨床診断(原因探索・病態評価・予後・治療目標)を整理して、できるだけわかりやすくアウトプットすることで、目指すべき方向性や課題が明確になります。そしてそれは、患者術者双方にとって非常に有益なものであり、自身の鏡像である診断を再評価することで、臨床力も向上するのではないかと考えています。

”「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ」という草枕の冒頭の言葉が重みを増して思い出される。(臨床診断)”

総合診断へのアプローチから10年という名論文の末尾はこのように締めくくられています。最初読んだときにはよく理解できませんでしたが、診断に関わる色んな文献を読んでから改めてこの一文を読み返してみると、その意味する重みが漸くわかってきました。
総合診断には、術者の心理を司る三要素(智・情・意)、ギリシャ哲学風にいえば ロゴス(客観的思考力)・パトス(感受性対人力)・エトス(主観的自律力)、その全てが関わるもので、それを術者間で共有するということがいかに難しいことなのか。それと同時に診断力を向上させるためには、知情意すべての力をバランスよく育んでいく必要があるのだということを示しているように思えます。

今回自分なりに、診断についてあれこれ考えてみました。結局は、先人の考察されていた内容から一歩も抜け出すことはできませんでしたが、その経緯を知り自分なりに理解することで、歯科医療というものの奥深さを改めて感じました。歯科臨床において診断とは何か?という答えにはまだ程遠いですが、今後も考え続けていきたいと思います。

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by nakadateshika | 2017-06-07 06:16 | 歯科臨床 | Comments(0)


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