人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2019年 04月 13日
パンセ(考えるということ)
最近はコレといった面白いTVもないので、過去の「100分de名著」をオンデマンドで見返しています。この番組は、著者の生い立ちや時代背景を押さえながら、要点を絞って説明してくれるので、名著好きにはたまりません。なかでも(福岡伸一さんが解説陣に加わった)、パスカルの名著「パンセ」の最終回は秀逸でした。

同時代(17世紀)を生きたデカルトとパスカル。いずれも科学者として様々な功績を残していますが、哲学者としては意見が対立し、お互いに敵視していたそうです。
デカルト:科学は万能である
自身の思想は揺るぎないものとし、因果関係を突き詰めることであくまで論理的(科学的)に、世界の謎を解き明かすことができるという考え
パスカル:科学にも限界がある
(自分自身を含めて)あらゆるものは揺らぎ変わり続けるものであり、この世界を論理(科学)だけで解明することは不可能であるという考え
ちなみにこの番組では、大震災の翌年に放送されていることもあって、パスカル的な立場から科学偏重の現代社会に警鐘を鳴らしています。

先日のブラックホールの話題などを見ていると、(その中身はまるで理解できませんが)「科学の力」というものの凄さを改めて思い知らされます。ただ原子力をはじめとして、科学によって手に入れた力を使いこなすことは、その力を生み出すことよりもむしろ難しいことなのかもしれません。科学と哲学、分析と統合、部分と全体。過去の偉大な科学者・哲学者はその両面から考えることの必要性を語っています。答えを導き出すために論理的に考えること、その一方で画一的な答えのない哲学的な問い(物事の本質や意義)を考えつづけること、その「両面から考えるということ」が、あらゆる分野において大切なのではないかと感じています。

ところでこのパンセという本は、パスカルが日々の気づきを書き付けたメモを、後人がまとめたものだそうです。熊本のN先生も、臨床で気づいたことを逐一メモしているという噂を聞いたことがありますが、臨床記録だけでなく「考えたこと」も記録しておいた方が良さそうです。

パンセ(考えるということ)_e0273912_8111787.jpg

by nakadateshika | 2019-04-13 10:24 | 書籍・映画・TV | Comments(0)


<< サピエンス全史      口腔内写真の処方箋 >>