カテゴリ:歯科臨床( 19 )

2019年 01月 23日
義歯の機能とかたち
e0273912_8455745.jpg”補綴設計は、欠損歯数やその形態だけで考えられがちだったが、歯周病や咬合状態なども含めて 総合的に考える必要性は年ごと高まるようになった。年月は患者さんの全身状態や生活環境にも及び、最適と考えた判断や先を見たつもりの処置にもズレが出てくることは避けられない。口腔内の経年変化だけでなく、ご本人の体調や取り巻く生活、社会環境までも変化していくことを体験すると、処置方針決定の難しさを痛感する。”

”生体に順応していくことの大切さに気づくようになったのは 何よりも経過観察のおかげで、人の生涯に関わり、犬歯の重要性や下顎前歯の長期残存、思わぬ局面での下顎智歯の活躍など、興味深い傾向をよりはっきり認識できるようになった。”

臨床ファイルⅤ序文からの引用ですが、「義歯の機能と形」という視点を通して、歯科臨床における「個別対応と経過観察」の重要性が見事にまとめられています。「は・くち・ひと」それぞれの要素は患者によって異なるだけでなく、時間の経過とともにその全てが変化していきます。そういった複雑な条件が絡み合う中で、その時々における最適な「義歯の機能と形」を見定めることは極めて難しいことです。恐らく多くの場合は、型にはめ込んだ画一的な正解などありえず、あくまで個別的で独自の形を(プロビジョナルなどを使って)術者と患者がともに探り当てていくというイメージなのではないかと思います。

ただその一方で、個々の「義歯の機能と形」を集めて・並べて・較べることで、普遍的な法則のようなものが見えてくることも事実です。実際そういったアプローチを通して(「設計の10原則」に代表されるような)基本的な症例の見方(型)が構築されてきたのではないかと思います。やはり、型から形を考えること、形から型を考えること、その双方が大切なのではないかと感じています。

by nakadateshika | 2019-01-23 08:34 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 01月 17日
火曜会新年会2019
e0273912_08232079.jpge0273912_08254975.jpg今週は、火曜会の新年会でした。今年の新年挨拶は、「新」「変」「平成」という3つのテーマから一つを選んで1分間、という企画でした。そのため 恒例の書き初めはなかったのですが、事前に新元号(予想)を書いてお持ち頂いた先生がいて、とても盛り上がりました。そんな一幕を見ながら、どんな仕事に対しても、一つ一つ丁寧に準備をすることの大切さを改めて感じました。

今年は(2021年開催予定の)火曜会65周年に向けての準備の年になります。自分に何か貢献できることがあるのかと不安になりますが、一つ一つの仕事を大切に、自分ができることを全力でやっていこう!という思いを強くした新年会でした。

by nakadateshika | 2019-01-17 07:58 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 01月 15日
リフォーム中
e0273912_07565196.jpg医院のリフォームが順調に進んでいます。まだ8割程度ですが、患者さんの目に触れる場所は概ね終わりました。壁紙や床の張り替え、照明増設の効果によって だいぶ明るい雰囲気になり、とても満足しています。また土足への切り替えが心配でしたが、雪が降らない土地柄ということもあってかそれほど汚れることもなく、履き替えの面倒もないので変えて良かったと思っています。

by nakadateshika | 2019-01-15 07:57 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 24日
リフォーム
e0273912_09052584.jpgこの年末に、医院を一部リフォームします。というのも、来年4月から小児歯科出身の妻が復帰するためですが、子どもが来やすいように、ファミリールームとキッズスペースを設置する予定です。またスリッパに関しても、履き替え時の面倒や衛生面が気になっていたので、これを機に土足スタイルへ切り替えたいと思います。色々と戸惑うことがあるかとは思いますが、何卒ご容赦ください。

”咬合(位)を育む・守る・立て直す”

「咬合」という視点から歯科臨床を眺めてみると、このような3つのステージに分かれるのではないかと思います。これまでは咬合を立て直すことが中心でしたが、今後は咬合を育む・守ることにその重心がシフトしていきそうです。そういった流れに対応するためのリフォームでもありますが、外面だけでなく内面(自分自身)も変えていく必要性を感じています。




by nakadateshika | 2018-12-24 09:05 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 19日
見えないものをどうみるか?
e0273912_1250158.jpgとはいうものの、臨床では目に見えないものや見えにくいものを、何らかの方法でみる必要があります。(補綴臨床60年のスライドにも王子さまは外冠内面の箔とともに登場していますが)力の要素や適合状態そして今話題の流れなど、歯科臨床には直接的には見えにくいものが数多くあります。そういったものを、プロビジョナルなどの変化から間接的に読み取ることは、とても大切なことだと感じています。




by nakadateshika | 2018-12-19 12:47 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 17日
L'essentiel
e0273912_1745089.jpgこのところ出番の多い「星の王子さま」を改めて読んでみました。が、可愛いイラストとは裏腹に何回読んでも難解なので、解説本に頼ることにしました。あまり期待はしていませんでしたが、解釈を無理強いするものではなく、哲学、科学、経済学など、様々な切り口での見方が示されていて、とても参考になりました。いきなりこの本を読むことはオススメできませんが、原作を経てから読むと、とても分かりやすいと思います。

”心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ”

この本の末尾は「肝心なことは一人ひとりが感じとるしかありません(だから言葉では言い表せない)。」と締めくくられています。一番大切なことが書いておらずガクッときましたが、自分としてはまさに「科学と哲学」との関係性を表しているように感じました。どんなに精密な検査結果を重ね合わせてみても、その人の全てを表現できないように、科学で見えることはあくまで断片的で、そこからこぼれ落ちているところに、肝心なもの(L'essentiel)があるような気がします。だからといって見えないものだけが大切というわけではなく、見えることの限界を知る、ことが大切なのではないかと思っています。




by nakadateshika | 2018-12-17 15:39 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 13日
秩序と調和
e0273912_17384952.jpgプラトン著「ゴルギアス」を読みました。当時流行していた政治的な弁論術に対して、市民の欲望に迎合するだけの演説は寧ろ有害であり、多少の痛みを伴うとしても、全体としての秩序と調和をもたらす方向へと誘導するために用いるべきものである、といった内容だったと思います。目先のことで決めているとしか思えない今の政治家にも是非読んで頂きたい本ですが、医療のあるべき姿についても触れられています。

”医術とは患者の本性を、また自分が行う処置の根拠をもよく研究し、そういった一つ一つについて理論的な説明を行うことができる技術である。”

長期的な視点に立ったとき、口腔内の秩序と調和をもたらす処置方針を決定することは極めて難しいことです。そのためには「症例の流れを読む」ことがとても大切ですが、「は・くち・ひと」と対象が大きくなるにつれてその変化は読みづらく、それほど簡単なプロセスではありません。しかし、その解へとつながるヒントが(火曜会が大切にしている)「ヒストリー・プロビジョナル・術後経過観察」の中にありそうです。それぞれを丹念に読み解くことが一つ一つの処置の根拠となり、説得力のあるプレゼンにも繋がるのではないかと感じています。

先日の火曜会では、65周年を見据えて「これまでの10年間で学んだこと」について、自分を含めた4人の演者が発表しました。どういった方向性になるかはまだ不透明ですが、全体の秩序と調和を乱すことのないように、より一層がんばらなければと思っている次第です。


by nakadateshika | 2018-12-13 17:39 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 05日
なんかよう会
e0273912_07253500.jpg昨日は今年最後のなんかよう会でした。予想外のスペシャルアドバイザー参戦に、いつもの100倍ぐらい緊張感がありましたが、その分充実度も100倍の最終回になりました。

会が始まる前には、臨床診断に関わる貴重な別刷りを頂きました。早速読み返してみましたが、「ひと」をみることの難しさと大切さを改めて感じました。またこの対談の中では、ケースプレを通した討論の重要性についても指摘されていましたが、ディスカッションの中で(反論されることで)教えられるというのはまさに実感するところです。火曜会のようにベテランの先生からの指摘も勿論勉強になりますが、同世代の先生からの反論から気づかされることも多々あります。途中退場が多く申し訳ないのですが、来年も頑張りたいと思います。


by nakadateshika | 2018-12-05 07:17 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 11月 27日
流れとかたち
e0273912_1733585.jpg今回のもぐら塾は、「義歯の機能と形(咬合崩壊症例に対する補綴設計)」というテーマでした。咬合崩壊症例では、長年の様々な経過の蓄積(力・感染・治療)によって、「機能と形」双方に多くの問題が生じています。そういった症例に対し、どこまで機能と形態を回復し、その代償として歯質や歯髄をどの程度犠牲にしても許されるのか?咬合崩壊症例では、そのジレンマにいつも悩みます。

「美しくないんだよな〜」

若手が提示する義歯に対して、たびたび巨匠の口から漏れたお言葉です。「美しい補綴」とは主観的な表現ですが、その言葉には多くの意味が凝縮されているのではないかと思います。目を転じて周りを見れば、自然界は美しいもので溢れています。川の流れ、樹木の枝、あらゆるものには無駄がなく、(抵抗が少ない)流れの良い形態をとっていることがわかります。「線が流れていない!、外形は失われた組織の範囲に!!」というお話もありましたが、できるだけ無駄を省き、違和感の少ない補綴物にするためには、その流れの良さを意識することが大切だと再認識しました。

一方「流れ」という言葉には、時間的な意味も含まれます。今回のもぐら塾には、若手に混じって大ベテランの加藤先生が参戦し、20年経過症例を提示していただきました。その長い経過の中で生体や補綴物には様々な変化がありましたが、可撤性義歯を補修しながらその流れに沿って対応をされていたのが印象的でした。形態的な流れも重要ですが、(術後変化にマイナーチェンジで対応できるような)流れを読んだ補綴設計、流れのよい術後対応ということがさらに重要であると改めて感じました。

流れといえばもう一つ、時代の流れというものを見過ごすわけにはいきません。金属代の高騰や技工士不足の問題など、可撤性が良いとはわかっていても実際のところ難しい、ということも少なからずあります。そういった時代や社会の流れの中で、今後どういった歯科臨床のかたちを創っていけばよいのか?そればっかりは、先人ばかりに頼らず自分達で考えていかなければならないのかもしれません。

by nakadateshika | 2018-11-27 06:48 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 11月 23日
巨匠との対話
e0273912_7243042.jpg文学界における歴史的な巨匠ゲーテと、その弟子エッカーマンとの対話録です。年の差43歳の二人が交わす対話の中には、詩作だけでなく人生全般に関わる名言が溢れています。

”一事を明確に処理できる人は、他の多くの事でも役に立つ”
”対象より重要なものがあるかね。対象を抜きにテクニックをどんなに論じてもしょうがない!”
”色々研究してみたところで、実際に応用したものしか頭に残らないからね”
”我々老人の過ちは許してもらえる。我々の歩んだ道はまだ拓かれてなかったのだから。しかし、後から生まれてくる人は、それだけ要求される所も多いのだから、迷ったり探したりすべきではない。老人の忠告を役立てて、まっしぐらによい道を進んでいくべきだ。いつかは目標に通じる歩みを一歩一歩と運んでいくのでは足りない。その一歩一歩が目標なのだし、一歩一歩そのものが価値あるものでなければならないよ。”

自分をエッカーマンと重ねることにはかなり無理がありますが、某先生との対話(といってもほぼ聞く一方ですが)の中で聞く文言と共通することが多く、とても面白かったです。書籍から学べることも多いですが、巨匠との対話からはその何倍も多くのことを教えられます。今週末はもぐら塾、受講生と巨匠との対話の中から数多くのことが学べるのではないかと、今から楽しみにしています。

by nakadateshika | 2018-11-23 07:24 | 歯科臨床 | Comments(0)