カテゴリ:欠損歯列( 38 )

2018年 03月 13日
パーシャルデンチャーと咬合崩壊〜ひとの変化にどう寄り添うか〜
e0273912_7585147.jpg”生きていることとは、四季色とりどりの移り変わりにこの肉体が従うことである(ゲーテ)”

(骨だけでなく)「ひと・くち・は」その全てが、常に変化し続けています。その変化の量と質は、人によってもまたその時期によっても様々ですが、その変化と協調し共存することが、補綴という分野における最も重要なテーマの一つではないかと思います。

昨年の企画では「咬合崩壊」という難局において、その変化を遅らせるためにインプラントがどの程度有効だったのか?ということについて検証しました。その議論を通じて、従来補綴の延長線上にインプラントを位置づけることが、その利点を活かすために重要であることが示されました。と同時に、生体の変化との協調と共存という点において、パーシャルデンチャーの可能性を改めて感じました。

”宇宙の根源現象は、らせんとリズムである(三木成夫)”

「パーシャルデンチャー新時代」にはらせん構造の象徴であるアンモナイトが表紙を飾っていますが、そこにはとても深い意味が込められているように思えます。話題としてはらせんのように繰り返しになってしまうかも知れないのですが、改めてパーシャルデンチャーの可能性について問い直してみることはとても意義深いのではないかと考えています。

by nakadateshika | 2018-03-13 07:34 | 欠損歯列 | Comments(0)
2018年 03月 08日
咬合平面と咬合崩壊
e0273912_8413643.jpg乱れた咬合平面は咬合崩壊の過程で生じた「結果」であり、一方でその崩壊をさらに助長する「原因」でもあります。そのため全顎的介入が必要なケースでは、乱れた咬合平面を可及的に是正し、適切なアンテリアガイダンスを獲得することが理想的であると考えられています。しかし実際には、咬合挙上・骨整形・歯牙移動・抜歯といったかなり大がかりな処置が必要となることも多く、どこまでの介入が必要十分なのか悩むことも少なくありません。

by nakadateshika | 2018-03-08 08:35 | 欠損歯列 | Comments(0)
2017年 09月 28日
動的平衡論からみた欠損補綴
e0273912_837122.jpg”サスティナブル(持続可能性)とは、常に動的な状態のことである。一見、堅牢強固に見える巨石文化は長い風雨に晒されてやがて廃墟と化すが、リノベーション(改築改修)を繰り返しうる柔軟な建築物は、永続的な都市を造る。”

"動的平衡にあるネットワークの一部を切り取って他の部分と入れ替えたり、局所的な加速を行うことは、一見効率を高めているかのようにみえて、結局は動的平衡に負荷を与え、流れを乱すことに帰結する。”

インプラントを否定するつもりはなく、状況によってはとても有効な手段だと思います。ただ、インプラントによって強固な咬合支持が得られる一方で、その背景には隣在歯や対合歯、顎関節や咀嚼筋などの適応力に依存していることを忘れてはいけないのではないかと考えています。そしてその適応力は、歳とともに低下していくということも。。
今回「動的平衡」に関する書籍を読んでみて、インプラントを選択する場合には、欠損の流れや、その使い方について極めて慎重に検討すべきであるということを改めて感じました。

by nakadateshika | 2017-09-28 08:37 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 11月 01日
いま、咬合の何が問題か
e0273912_2240597.jpg(金子先生のブログにも紹介されていた)1988年に行われた座談会のレポートです。一地方歯科医師会が国際シンポジウムを開いたこと自体が驚きですが、その内容にも目を見張ります。今読んでみても古びた感じは微塵もなく、特にProf.McNeillの言葉が印象的です。

”歯の診察を急ぎすぎて歯科学的な要素の相互関連に注意を払いすぎる結果、患者の総合的な健康度をないがしろにしてしまうことは、われわれ歯科医に共通な欠点だと思います。”
”何年もかかって極端に小さくなった高齢者の垂直的顎間距離を、すぐに しかも大幅に増加しても構わないと考えることは、生物学的に無知な歯科医のやることだと思います。”
”垂直的顎間距離を科学的に決める方法はありません。しかし、歯科医としてはこのことをあまり気にすることはないでしょう。普通のかぜを治す薬もなければ治療法もない。かぜさえも治せない世の中なのですから、我々が答えがないといっても別に恥ずかしくないのではないですか。”

とりわけ、最後の部分が秀逸です。咬合に限ったことではありませんが、まだまだわからないことが山ほどあり、実際には生体の治癒力や適応力に頼っていることを教えてくれているようです。全て治癒力任せというわけにもいきませんが、生体への配慮を忘れて理想的な咬合関係を闇雲に求めてしまうことが一番の問題なのではないかと感じました。

by nakadateshika | 2016-11-01 22:40 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 10月 29日
Deep overbite 総論
e0273912_6475353.jpg現在、12月の企画に向けて下調べをしているところです。しかし、調子に乗ってブラキシズムや成長発育にまで手を出したところ、(まさにデスロック状態で)身動きが取れなくなってしまいました。。
”聞いて、思って、修めることが学問の法則”だと露伴師匠も述べていますが、確かにインプットばかりでは全く頭が整理できないので、少しづつでもアウトプットすることでdeep overbiteに関する知識を修得していきたいと思います。

by nakadateshika | 2016-10-29 06:48 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 04月 05日
集大成
e0273912_7473316.jpgSchweitzer先生の集大成(4冊目:全373ページ)を コピーしてきました。64 years of Active Practiceとサラッと書いてありますが、その重みは計り知れません。

※記事に関して東京本社より 『東京オリンピックには追い越せる!!』という熱いコメントが届けられ、自分も胸を熱くしています。オリンピックより一足早い金メダルの瞬間を間近で目撃できるように、自分も頑張りたいと思っています。
ただ、自分の場合は 実家に帰ってきたのが35歳なので、64年後は99歳。記録更新は難しいようです(もちろん中身も違いますが・・・)。

by nakadateshika | 2016-04-05 07:47 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 03月 24日
incomplete
e0273912_6171173.jpgSCHWEITZER 3部作、ついにコンプリート!
と思いきや、実は4作目(Restorative dentistry Resume:1985)があることが発覚しました。しかも、お値段 2,000 ドル!!
流石に手が出ませんので、医科歯科の図書館で全コピ予定です。

”(他の仕事にもいえることだが)歯科医師としてのキャリアを歩みはじめてから、基本的な治療を一通りできるようになり、原因と結果を客観的に判断できるようになるまでには少なくとも10年は必要である。しかし 臨床記録を残しておかなければ、治療後の経過に対する原因と結果についての評価をすることはできない。そのためには、できるだけ正確な資料(口腔内写真やレントゲンなど)が必要不可欠である。
臨床のキャリアを積み重ねていくにつれて、治療後の経過も長くなるため 記録した資料の量はあっという間に増えていく。しかしこの資料があるからこそ、 治療前後の経過を比較することが可能となり、自分が行った(あるいは行わなかった)処置方針に対する原因と結果を評価することができる。もちろん、すべてが思惑どおりにいった症例ばかりではない。しかし、思うようにいかなかかった症例の経過から得られる教訓は計り知れない。
私はこれまでに、数千枚に及ぶ写真を撮り続けてきた。その中には、現在の治療水準には及ばないような構造のブリッジが40年以上機能していたり、オープンバイト症例に対して何も処置を行わず良好な経過を辿っているものなどもある。そういった 全ての治療記録を採っておくことで初めて見えてくることがあるのだ。”

以前の記事と重複した内容なので しつこいかなとも思いましたが、卒後5〜10年の受講生が多い基本ゼミが今週末から始まるので、敢えてアップしてみました。ただ、日常の診療に追われついつい記録をとるのが疎かになってしまう自分への戒めでもあります。

by nakadateshika | 2016-03-24 06:17 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 03月 02日
記録の心得
e0273912_4552599.jpg「歯科医学の歴史」の到着を待つ間に、Schweitzer先生の本からもう一つご紹介します。

・記録の心得
1920年代初頭から、私は 自分が関わった全ての患者に対して記録をとりつづけてきた。これといった治療を行わず ただ経過を見てきた患者の記録については、一見あまり意味がないように思える。しかし、その長期経過をじっくりと観察していると、その中には(臨床的に価値のある)有益な情報に溢れていることに気づかされる。好奇心と熱意をもって、ひたすら記録をとりつづけることが重要である。
また、術者によって技量・知識・経験が異なるため、その臨床経過は 術者によって変わることは避けられない。従って、自分自身が治療したことだけを記録して、客観的に比較しなければならない。
その他の心得は下記の通りである。
・歯科医としてのキャリアを歩み始めたら、できるだけ早い時期から記録をとりつづけるべきである。
・各症例の記録は、(少なくとも)2年に一度はとらなければならない。
・治療終了後も、できるだけ長く経過をみなければならない。。

現代においても、充分説得力がある内容ですが、撮影機器も満足に揃っていなかったと思われる1920年代の話ですから、Schweitzer先生の熱意がいかほどであったかと驚愕します。彼の生い立ちにも興味が湧いてきますが、そこまで手をだすと収拾がつかなくなるので、まずは臨床ファイルをもう少し読んでみようと思います。
また、今月から 臨床基本ゼミが始まります。初回に臨床記録の重要性についてお話があると思いますが、ある意味では一番重要な部分ではないかと感じています。

by nakadateshika | 2016-03-02 04:55 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 26日
What is the goal of oral rehabilitation?
「オーラルリハビリテーションの理想的なゴールは、口腔内の崩壊を食い止め 機能的にも審美的にも完璧な状態に再び戻すことである、と考えている歯科医がいるかもしれない。しかし、人間の心と体は儚い(時の移ろいとともに変化していく)ものであり、完璧な結果を期待することは無茶である ということを謙虚に受け入れるべきであろう。我々歯科医師は、カリエス・ペリオ・欠損の進行の流れを できる限り遅らせるために努力すべきであるが、それは生体力学・生理学の概念に基づいた(反しない)手法によって行うべきである。

補綴物をより永く機能させるためには、術前に最終的な治療目標をイメージすることが極めて重要である。その上で、真剣かつ誠実に治療を行えば 殆どの場合 イメージ通りの治療結果を得ることができる。しかし残念ながら、思い通りにいかないことも希にある。その最も大きな要因は、神経筋機構・心理的問題・免疫などの感受性といった宿主の全身的要因である。

幸いに理想的なオーラルリハビリテーションが達成できたとしても、装着した補綴物は他の臓器と同様 経時的に劣化していくことを肝に銘じ、その後の観察と(必要があれば)修正を必ず行わなければならない。そういう意味では、オーラルリハビリテーションにおいて 明確なゴールというものは存在しないのかも知れない」 

Oral Rehabilitation 1964 Chapter 1

by nakadateshika | 2016-02-26 05:44 | 欠損歯列 | Comments(0)
2016年 02月 20日
DEEP OVERBITE 2
e0273912_12114680.jpgかなり分厚い本なので、著者は大学教授だと勝手に思っていましたが、臨床の傍ら 夜な夜な大学に通って博士号を取得したという バリバリの臨床家だったようです。

それもあってか、本の性格としては 教科書的というよりも、ケースレポート集という色合いが濃いようです。ただ、(咬合の話を含めた)オーラル・リハビリテーションという大きなテーマの場合には、教科書だけ読んでいても それこそ雲を掴むような話でイメージが掴めないというのが正直なところです。隅から隅まで翻訳するのは到底無理そうですし、どこまで意味があるのかもわからないので、興味がある症例をピックアップして読み解いていければなと思っています。
ただ、そうはいっても高い山であることにかわりはないので、経験豊富なシェルパ(といったら失礼ですが)のお力を借りて、遭難しないように気をつけながら少しでも 雲の上の頂に近づきたいと思っています。

by nakadateshika | 2016-02-20 12:08 | 欠損歯列 | Comments(0)