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2019年 03月 24日
保存の限界と治療方針
e0273912_7312210.jpgもくあみ会からの流れで、関連する過去の文献を紐解いてみました。30年以上前に発刊された書籍であり、その間には器材だけでなく専門的な知識や技術、その多くが飛躍的に進歩しました。しかし、歯科臨床における「見立て」の難しさについては本質的にはあまり変わっていない、というよりも様々な選択肢が増えた分だけ、むしろ難しくなっているのかもしれません。

”咀嚼器官としての歯の働きは、それが失われた時には人工的な修復物に置換されるというような、単純な答えで満たされるものではありません。神から与えられた精巧な器官は、どんな人工物にも優るものであろうと思います。
それゆえに、1本の歯を治療する歯科医師の使命は重大であり、その価値を知っているからこそ、日常の臨床で迷い、模索しながら、より望ましい診療のあり方を求めて対処しているのが実状ではないかと思われます。
しかし、ここ十数年の間に器材の発達、学問的な究明、さらには予防歯科の考え方が導入されるに至って、(1歯単位の視点だけでなく)口腔単位・個人単位の生涯治療を目標に対応しなければならなくなってきました。それはさらに、ホームドクターにまで発展するような、患者と医師との人間関係の樹立のもとに治療を考えることが必要となってきております。このことが、機能的にも人間的にもトータルで診る総合診断の必要性が強調されるゆえんであります。”

by nakadateshika | 2019-03-24 06:16 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 03月 18日
名古屋もくあみ会
e0273912_735387.jpgこの週末は、名古屋もくあみ会に出席しました。3月の名古屋にしては想定外の寒さでしたが、もくあみ会は例年通りに熱く盛り上がりました。これもひとえに、しんせん組の先生方のご尽力があったからこそ!本当にありがとうございました。

1日目のケースプレは、(昨年のゼミ受講生から初代受講生の大御所まで)幅広い世代の先生方がご登壇されました。ジャンルは歯周病・咬合育成・欠損補綴と様々でしたが、ベテランだけでなく若手の先生方も、患者さんの気持ち(人の要素)に充分配慮しながら治療をされている姿にとても感銘を受けました。そして1日目のトリは例年通りS先生でした。昨年は、運営側だったためにケースプレができず、懇親会では大暴れだったそうですが、今年はその鬱憤を晴らすかのような見事なプレゼンで、そのせいもあってか懇親会では比較的穏やかだったそうです(メデタシメデタシ)。

二日目の全体会は、”流れを意識した欠損補綴”というテーマでした。中堅からベテランを中心に、全部で7症例が提示されましたが 「どの症例も無理をしている感じがなく、処置方針を自然に受け入れられる」というS貝先生のコメントがまさに!といった印象でした。同先生からは以前にも、「術後にトラブルがあったとしても、患者さんに大きな変化を感じさせない(負担をかけない)処置方針が望ましい」というご意見を伺った記憶がありますが、それがまさしく”流れを意識した欠損補綴”といえるのかもしれません。
そのためには、KA367などによって俯瞰的に欠損歯列の流れを読むこと、その一方で(患者さんとの関わりあいの中から)性格や嗜好など個別の要素を読み解くことが必要で、その二つを統合することによって初めて、術後変化にもスムーズに対応できる、流れの良い補綴設計の立案が可能になるのではないかと思います。会長が絶賛されているとおり、H先生、S先生のプレゼンはまさにそのお手本のようなケースでした。

そして大トリは、皆さんお待ちかねの金子先生でした。時代背景を交えて、補綴臨床とご自身の歩みをお話していただきましたが、そのプレゼンを聞きながら、歯科臨床に求められる課題も、時代の流れ・社会の変化とともに移り変わっていくということを改めて感じました。
”流れ”というコトバからは、変化・時間・ヒストリーなど様々なイメージが連想されます。そのどれもが歯科臨床を考えるうえで欠かせない要素ですが、広辞苑を見てみると「技芸や思想を伝承すること」という意味もあるそうです。現代の歯科臨床は、超高齢社会・技工士問題・金属高騰問題などなど、新しい様々な問題を抱えています。そういった新たな問題を打開するためには、先人から受け継いだ知恵と技術に立脚した自分自身の創意工夫が大切であり、その歩みの記録がまたその後の流れを作る道標となる、ということを教えていただいたように思います。そしてご自身の歩みを引き継いで、これからの欠損補綴、いや歯科臨床の新たな流れを作って欲しい!!という厳しくも温かいエールのようにも聞こえました。直前まで講演内容には迷われていたようですが、”流れを意識した欠損補綴”というテーマを締めくくるに相応しく、そして誰にも真似できない圧巻のプレゼンテーションでした。

そして記念すべき20年目のもくあみ会は、熊本に決まりました。「KDM40周年への出席を条件に」という南政所?(マサコさま)のご提案にも満場一致で賛同が得られ、来年は会員一同 いざ熊本!!へ馳せ参じることになりました。S先生を筆頭に血気盛んな同世代の先生方が多いので、今からとても楽しみです。

by nakadateshika | 2019-03-18 07:22 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 03月 01日
方法としての面接
e0273912_13533191.jpg課題図書「方法としての面接」を読みました。自分なりにまとめてみようと試みましたがどうにもスッキリせず、その後何度か読み返して漸くその骨子が見えてきたような気がします。

・医療では(とりわけ精神科では)、「面接」を通して患者の気持ちを洞察することが極めて重要である。それがなければ症例を充分に理解することはできず、適切な「見立て(診断・治療・予後予測)」もできない。そしてそのために必要なものが、患者への共感(Einfühlung)と医者自身の人格形成(Bildung)である。

・臨床研究の本質は、個々の症例を集めて比較・分類しその法則性を掴むことである。そしてそれらの法則を活用することで、個別の症例をより深く理解できるようになる。したがって、個々の症例を一つ一つ蓄積することと、(俯瞰的に)それぞれの症例の関係性を掴むこと、その双方のアプローチが臨床医には求められている。

一見すると相反するような内容ですが、よくよく考えてみると、どうやらこの本も「型と形」に繋がる話のようです。歯科臨床においても、「ひと」の要素を省いてしまうと症例を充分に理解することはできません。ただその一方で、(咬合支持・欠損段階・KA367などの)俯瞰的な視点が、症例への深い理解と、より良い「見立て」に繋がるのではないかと思われます。

新訂版はまだ購入可能です。かなり難解ですが、ご興味がある先生は是非ご一読ください。

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by nakadateshika | 2019-03-01 08:23 | 歯科臨床 | Comments(0)