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2018年 11月 23日
巨匠との対話
文学界における歴史的な巨匠ゲーテと、その弟子エッカーマンとの対話録です。年の差43歳の二人が交わす対話の中には、詩作だけでなく人生全般に関わる名言が溢れています。

”一事を明確に処理できる人は、他の多くの事でも役に立つ”
”対象より重要なものがあるかね。対象を抜きにテクニックをどんなに論じてもしょうがない!”
”色々研究してみたところで、実際に応用したものしか頭に残らないからね”
”我々老人の過ちは許してもらえる。我々の歩んだ道はまだ拓かれてなかったのだから。しかし、後から生まれてくる人は、それだけ要求される所も多いのだから、迷ったり探したりすべきではない。老人の忠告を役立てて、まっしぐらによい道を進んでいくべきだ。いつかは目標に通じる歩みを一歩一歩と運んでいくのでは足りない。その一歩一歩が目標なのだし、一歩一歩そのものが価値あるものでなければならないよ。”

自分をエッカーマンと重ねることにはかなり無理がありますが、某先生との対話(といってもほぼ聞く一方ですが)の中で聞く文言と共通することが多く、とても面白かったです。書籍から学べることも多いですが、巨匠との対話からはその何倍も多くのことを教えられます。今週末はもぐら塾、受講生と巨匠との対話の中から数多くのことが学べるのではないかと、今から楽しみにしています。

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# by nakadateshika | 2018-11-23 07:24 | 書籍・映画・TV | Comments(0)
2018年 10月 28日
変わってくこと、変わらずにいること
今週末は、臨床基本ゼミでした。最終回となる今回は、毎年恒例の受講生ケースプレが行われました。以前に比べると、(口腔内写真などの)資料採りには慣れている先生も多かったのですが、ケースプレの準備にはかなり苦労されていたようです。それでも全員無事に発表を終え、開始前には青ざめていた顔も、発表後の集合写真では満面の笑みに変わっていました。

”大事なのは変わってくこと、変わらずにいること”

二次会はカラオケ大会でしたが、某先生が熱唱されていたこのフレーズが心にズシンと響きました。午前中は「長期経過症例から見えるもの」というテーマでしたが、生体も補綴物も時に残酷なぐらいに変わり続けるということ、その一方で、セメントやパノラマといった変わらない視点を持ち続けていたからこそ、その変化を的確に捉えられるのだということを痛感しました。万物流転、動的平衡といった生命の大原則を受け入れるとともに、それらを見つめるうえで、揺るぎない視点や視座を持つことが、臨床において何よりも大事であるということを再認識しました。

う蝕や欠損の減少、超高齢社会に伴う問題など、歯科を取り巻く環境も目まぐるしいスピードで変わり続けています。そういった変化から取り残されずに自分自身も変わっていくことは必要不可欠ですが、患者さんと長く寄り添っていくこと、その中で生じる変化を注意深く観察すること、そしてその足跡を記録していくこと、といった基本ゼミの真髄は、変わらずに持ち続けていかなければならないと改めて感じました。

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# by nakadateshika | 2018-10-28 15:37 | スタディグループ・セミナー | Comments(0)
2018年 10月 13日
ななもじのうた
よわねをはくな くよくよするな
なきごというな うしろをむくな

ひとつをねがい ひとつをしとげ
はなをさかせよ よいみをむすべ

すずめはすずめ やなぎはやなぎ
まつにまつかぜ ばらにばらのか



今日は、41歳の誕生日。
自分の個性を大切に、他人の個性も大切に、あと半生前向きに頑張りたいと思います。

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# by nakadateshika | 2018-10-13 16:50 | 書籍・映画・TV | Comments(0)
2018年 10月 07日
悠々として急げ
”地球は狭くなったといわれる。しかし、狭いものにはたいてい皺がある。地球も戦争、条約、汚染、資源、枯渇、人口爆発と、皺は増えるばかり。身のまわりを見ても口をひらくまえに閉じたくなる時代である。
そこで、皺ののびる対談をやってみようと思いたった。古語に「フェスティナ・レンテ」という。悠々として急げ、の意である。もとはこれ、ある王様の治世の座右銘だったと伝えられるが、衆庶の日常の必須心得ともしたいのである。”


温泉狂やノミ博士といった一風変わった達人たちとの対談集ですが、その冒頭に書かれた文章は流石としか言いようがありません。この中に出てくる「悠々として急げ」という言葉は、開高さんの本に度々登場してきます。他にも「漂えど沈まず」「明日、世界が滅びるとしても 今日、あなたはリンゴの木を植える」など、対立的で矛盾的で逆説的な名言を数多く残されていますが、どれも大好きな言葉です。以前はこういったモヤモヤした表現は理解できませんでしたが、それなりに歳を重ね、世の中はお勉強のように単純明快とはいかないことばかりであることを思い知るにつれ、その言葉の深みが少しずつわかってきたようです。

歯科臨床も部分と全体、その双方からのアプローチが必要不可欠です。そのためにすべきこと・できていないことは山積みですが、焦りすぎず、のんびりしすぎず、「悠々として急げ」の精神で進んでいきたいと思います。

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# by nakadateshika | 2018-10-07 02:06 | 書籍・映画・TV | Comments(0)
2018年 09月 25日
欠損歯列の見方と処置方針
「欠損歯列の見方」なんてものがあるのかネ?

開始5分前にボソッと呟かれたその本質的な問いかけ(物言い)に、「欠損歯列の見方」というテーマのプレゼンを控えていた僕の心臓は破裂寸前でした。しかし改めて考えてみると、60年以上の経験を持つ先生が未だにその命題を問い続けているというその事実が、「欠損歯列・欠損補綴」というテーマの難しさをまざまざと物語っています。

今回のゼミでは、金子先生・設楽先生の圧倒的な症例がいくつも提示されました。両先生のレベルまでには越えるべきハードルがありすぎて、途方にくれてしまうのも無理はありません。しかしまずは一症例、(宿題症例のように)悩んでいる症例とじっくりと向き合い、その歩みを振り返ることが両先生に近づく第一歩となり、さらにその次の一歩につながっていくのではないかと思います。僕自身も一症例一症例を大切に、欠損歯列をジックリ学んでいきたいと思っています。

「23歳」の受講生症例が話題を集めていましたが、ちょうどこの日は学長87歳のバースデイでした。(ブログその他の障壁にもめげずに)ご自身の知識や技術を若手に継承することを、未だ諦めずに過ごされている姿には、本当に頭が下がるばかりです。


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# by nakadateshika | 2018-09-25 07:52 | スタディグループ・セミナー | Comments(0)