人気ブログランキング |
タグ:名著 ( 35 ) タグの人気記事

2019年 04月 20日
サピエンス全史
e0273912_7484630.jpg少し前に話題になった「サピエンス全史」を読みました。割と厚めの二冊組なのですが、翻訳がとてもわかりやすいので読みやすかったです。

”読書の醍醐味の一つは、自分の先入観や固定観念を覆され、視野が広がり、新しい目で物事を眺められるようになること、いわゆる「目からウロコが落ちる」体験をすることだろう。まさにそのような醍醐味を満喫させてくれるのが本書「サピエンス全史」である。”

「訳者あとがき」の文章がズバリ!といった内容で、人類だけが、なぜここまで繁栄できたのか?人類は何を考え、何を求めてきたのか?などについて、歴史的事実を踏まえながら論理的かつ分かりやすい考察がされていて、まさに「目からウロコが落ちる」ことばかりでした。

対象となるモノ自体は変わらなくても、自分の見る目(フィルター)が変わることでその見え方は一変し、その感覚が「楽しい!」と感じるのではないかと思います。今週も基本ゼミが行われていますが、受講生の皆さんも、まさにそういった感覚を味わっているのではないでしょうか?

by nakadateshika | 2019-04-20 07:48 | 趣味・娯楽 | Comments(0)
2019年 03月 24日
保存の限界と治療方針
e0273912_7312210.jpgもくあみ会からの流れで、関連する過去の文献を紐解いてみました。30年以上前に発刊された書籍であり、その間には器材だけでなく専門的な知識や技術、その多くが飛躍的に進歩しました。しかし、歯科臨床における「見立て」の難しさについては本質的にはあまり変わっていない、というよりも様々な選択肢が増えた分だけ、むしろ難しくなっているのかもしれません。

”咀嚼器官としての歯の働きは、それが失われた時には人工的な修復物に置換されるというような、単純な答えで満たされるものではありません。神から与えられた精巧な器官は、どんな人工物にも優るものであろうと思います。
それゆえに、1本の歯を治療する歯科医師の使命は重大であり、その価値を知っているからこそ、日常の臨床で迷い、模索しながら、より望ましい診療のあり方を求めて対処しているのが実状ではないかと思われます。
しかし、ここ十数年の間に器材の発達、学問的な究明、さらには予防歯科の考え方が導入されるに至って、(1歯単位の視点だけでなく)口腔単位・個人単位の生涯治療を目標に対応しなければならなくなってきました。それはさらに、ホームドクターにまで発展するような、患者と医師との人間関係の樹立のもとに治療を考えることが必要となってきております。このことが、機能的にも人間的にもトータルで診る総合診断の必要性が強調されるゆえんであります。”

by nakadateshika | 2019-03-24 06:16 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 03月 01日
方法としての面接
e0273912_13533191.jpg課題図書「方法としての面接」を読みました。自分なりにまとめてみようと試みましたがどうにもスッキリせず、その後何度か読み返して漸くその骨子が見えてきたような気がします。

・医療では(とりわけ精神科では)、「面接」を通して患者の気持ちを洞察することが極めて重要である。それがなければ症例を充分に理解することはできず、適切な「見立て(診断・治療・予後予測)」もできない。そしてそのために必要なものが、患者への共感(Einfühlung)と医者自身の人格形成(Bildung)である。

・臨床研究の本質は、個々の症例を集めて比較・分類しその法則性を掴むことである。そしてそれらの法則を活用することで、個別の症例をより深く理解できるようになる。したがって、個々の症例を一つ一つ蓄積することと、(俯瞰的に)それぞれの症例の関係性を掴むこと、その双方のアプローチが臨床医には求められている。

一見すると相反するような内容ですが、よくよく考えてみると、どうやらこの本も「型と形」に繋がる話のようです。歯科臨床においても、「ひと」の要素を省いてしまうと症例を充分に理解することはできません。ただその一方で、(咬合支持・欠損段階・KA367などの)俯瞰的な視点が、症例への深い理解と、より良い「見立て」に繋がるのではないかと思われます。

新訂版はまだ購入可能です。かなり難解ですが、ご興味がある先生は是非ご一読ください。

e0273912_7172772.jpg

by nakadateshika | 2019-03-01 08:23 | 歯科臨床 | Comments(0)
2019年 01月 20日
型と形
e0273912_5513298.jpg幸田文さんの対談をまとめた文庫本です。「お辞儀をするならフワッとやるな チャンとやれ、お前達(のような子ども)はまず型をこしらえて、それから中身ができてくる」「写真とは、(景色でも人でも)写しとるべき要所を素早く見極める技術だ」などなど、まだ知らなかった露伴の教えが随所に散りばめられていて、とても面白かったです。

”露伴は、娘にじっくり「型」を仕込んだ。しかしその「型」が、そのまま窮屈な「形」になっては広がりをなくす。かたまらない「型」を身につけてはじめて、物事の模様を掴むことができると教えたのである。”

型と形。似てはいますが、「型」は同質のものを作り出す鋳型、「形」はそれぞれに違う個別のもの、という違いがあるそうです。先人から学んだ臨床の「型」は、とても役に立っています。しかしその型にはまらず、自分自身の個性や時代に応じた、独自の「形」を見つけることの大切さと、その難しさを痛感している今日この頃です。

by nakadateshika | 2019-01-20 05:52 | 趣味・娯楽 | Comments(0)
2018年 12月 17日
L'essentiel
e0273912_1745089.jpgこのところ出番の多い「星の王子さま」を改めて読んでみました。が、可愛いイラストとは裏腹に何回読んでも難解なので、解説本に頼ることにしました。あまり期待はしていませんでしたが、解釈を無理強いするものではなく、哲学、科学、経済学など、様々な切り口での見方が示されていて、とても参考になりました。いきなりこの本を読むことはオススメできませんが、原作を経てから読むと、とても分かりやすいと思います。

”心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ”

この本の末尾は「肝心なことは一人ひとりが感じとるしかありません(だから言葉では言い表せない)。」と締めくくられています。一番大切なことが書いておらずガクッときましたが、自分としてはまさに「科学と哲学」との関係性を表しているように感じました。どんなに精密な検査結果を重ね合わせてみても、その人の全てを表現できないように、科学で見えることはあくまで断片的で、そこからこぼれ落ちているところに、肝心なもの(L'essentiel)があるような気がします。だからといって見えないものだけが大切というわけではなく、見えることの限界を知る、ことが大切なのではないかと思っています。




by nakadateshika | 2018-12-17 15:39 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 12月 13日
秩序と調和
e0273912_17384952.jpgプラトン著「ゴルギアス」を読みました。当時流行していた政治的な弁論術に対して、市民の欲望に迎合するだけの演説は寧ろ有害であり、多少の痛みを伴うとしても、全体としての秩序と調和をもたらす方向へと誘導するために用いるべきものである、といった内容だったと思います。目先のことで決めているとしか思えない今の政治家にも是非読んで頂きたい本ですが、医療のあるべき姿についても触れられています。

”医術とは患者の本性を、また自分が行う処置の根拠をもよく研究し、そういった一つ一つについて理論的な説明を行うことができる技術である。”

長期的な視点に立ったとき、口腔内の秩序と調和をもたらす処置方針を決定することは極めて難しいことです。そのためには「症例の流れを読む」ことがとても大切ですが、「は・くち・ひと」と対象が大きくなるにつれてその変化は読みづらく、それほど簡単なプロセスではありません。しかし、その解へとつながるヒントが(火曜会が大切にしている)「ヒストリー・プロビジョナル・術後経過観察」の中にありそうです。それぞれを丹念に読み解くことが一つ一つの処置の根拠となり、説得力のあるプレゼンにも繋がるのではないかと感じています。

先日の火曜会では、65周年を見据えて「これまでの10年間で学んだこと」について、自分を含めた4人の演者が発表しました。どういった方向性になるかはまだ不透明ですが、全体の秩序と調和を乱すことのないように、より一層がんばらなければと思っている次第です。


by nakadateshika | 2018-12-13 17:39 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 11月 23日
巨匠との対話
e0273912_7243042.jpg文学界における歴史的な巨匠ゲーテと、その弟子エッカーマンとの対話録です。年の差43歳の二人が交わす対話の中には、詩作だけでなく人生全般に関わる名言が溢れています。

”一事を明確に処理できる人は、他の多くの事でも役に立つ”
”対象より重要なものがあるかね。対象を抜きにテクニックをどんなに論じてもしょうがない!”
”色々研究してみたところで、実際に応用したものしか頭に残らないからね”
”我々老人の過ちは許してもらえる。我々の歩んだ道はまだ拓かれてなかったのだから。しかし、後から生まれてくる人は、それだけ要求される所も多いのだから、迷ったり探したりすべきではない。老人の忠告を役立てて、まっしぐらによい道を進んでいくべきだ。いつかは目標に通じる歩みを一歩一歩と運んでいくのでは足りない。その一歩一歩が目標なのだし、一歩一歩そのものが価値あるものでなければならないよ。”

自分をエッカーマンと重ねることにはかなり無理がありますが、某先生との対話(といってもほぼ聞く一方ですが)の中で聞く文言と共通することが多く、とても面白かったです。書籍から学べることも多いですが、巨匠との対話からはその何倍も多くのことを教えられます。今週末はもぐら塾、受講生と巨匠との対話の中から数多くのことが学べるのではないかと、今から楽しみにしています。

by nakadateshika | 2018-11-23 07:24 | 歯科臨床 | Comments(0)
2018年 10月 07日
悠々として急げ
e0273912_263663.jpg”地球は狭くなったといわれる。しかし、狭いものにはたいてい皺がある。地球も戦争、条約、汚染、資源、枯渇、人口爆発と、皺は増えるばかり。身のまわりを見ても口をひらくまえに閉じたくなる時代である。
そこで、皺ののびる対談をやってみようと思いたった。古語に「フェスティナ・レンテ」という。悠々として急げ、の意である。もとはこれ、ある王様の治世の座右銘だったと伝えられるが、衆庶の日常の必須心得ともしたいのである。”

温泉狂やノミ博士といった一風変わった達人たちとの対談集ですが、その冒頭に書かれた文章は流石としか言いようがありません。この中に出てくる「悠々として急げ」という言葉は、開高さんの本に度々登場してきます。他にも「漂えど沈まず」「明日、世界が滅びるとしても 今日、あなたはリンゴの木を植える」など、対立的で矛盾的で逆説的な名言を数多く残されていますが、どれも大好きな言葉です。以前はこういったモヤモヤした表現は理解できませんでしたが、それなりに歳を重ね、世の中はお勉強のように単純明快とはいかないことばかりであることを思い知るにつれ、その言葉の深みが少しずつわかってきたようです。

歯科臨床も部分と全体、その双方からのアプローチが必要不可欠です。そのためにすべきこと・できていないことは山積みですが、焦りすぎず、のんびりしすぎず、「悠々として急げ」の精神で進んでいきたいと思います。

by nakadateshika | 2018-10-07 02:06 | 趣味・娯楽 | Comments(0)
2018年 08月 22日
走れメロス
e0273912_05465945.jpg朝ランを始めました。
とはいっても、15分程度ジョギングしているだけなので、マラソンやトライアスロンをされている方々からみればお散歩程度のものです。それでも、パソコンの前で座りっぱなしだった体にはかなりの負担だったようで、階段の上り下りも辛いぐらいの筋肉痛になってしまいました。ただ朝から運動することで、頭も体も一気に目が覚め、気分は爽快です。いつの間にやら、大学時代に較べて10kgも体重が増えてしまったので、まずは5kg減を目標に頑張ってみようと思います。

走るといえば、先日の100分de名著は「走れメロス」でした。
メロスと親友セレヌンティウスの信頼と友情の美しさを描いた作品だと単純に思っていたのですが、メロス・セレヌンティウス・暴君ディオニスは、実は自分自身の中に存在する善と悪(天使と悪魔)の心を表現しているのでは?という解説がなされていて、とても面白いと感じました。借金の人質として親友を熱海に放置し(メロスと違って)戻らなかった、という逸話を持つ堕罪の心は何ともわかりませんが、読者の視点や切り口によって色んな捉え方ができるというのは、読書のとても興味深い所だと思いました。

雨が降ったりしていると心の中のディオニスが優勢になってしまいますが、邪心に打ち勝ち、なんとか目標達成まで走り続けたいと思っています。走れマサヨシ。



by nakadateshika | 2018-08-22 05:47 | 趣味・娯楽 | Comments(0)
2018年 08月 11日
こころ
e0273912_16551713.jpg帰省中にはやれることも限られていますが、本を読むチャンスでもあります。この夏は、今更ながら「こころ」を読んでみました。前に読んだのは小学校だったか中学校だったか記憶が定かではないですが、あまりよくわからず大して面白いとも感じなかった気がします。しかし40になった今、改めて読み返してみると目には見えない「こころ」の動きがものの見事に表現されているのがわかり、以前よりもはるかに面白かったです。
本にしても、講義にしても、読み手や聞き手がある程度の経験やイメージを持っていないと、その「こころ」を理解することは難しいんだなぁと改めて感じました。


by nakadateshika | 2018-08-11 17:03 | 趣味・娯楽 | Comments(0)