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2018年 01月 22日
医科歯科連携研修会
e0273912_8512859.jpg週末は、医科歯科連携研修会に参加しました。乳がんとONJがテーマでしたが、どちらも臨床と研究の知見がほどよくミックスされた内容でとてもわかりやすい好演会でした。

”問題は抜歯そのものではなく、感染をさせるかどうかである。”

ONJポジションペーバー作成委員に名を連ねる田口先生のお話は、とても勉強になりました。一旦BP剤治療を開始したケースでは休薬することによる恩恵はほとんどなく、それよりも骨折リスクが高まることの方が問題であるということを何度も強調されていたのが印象的でした。田口先生が推奨されていたONJ予防法は下記の通りです。

・BP剤は休薬しない
・ONJを誘発するような処置を行う際には、抗菌剤の術前投与を行う
・侵襲の程度と範囲は可及的に最小限にする
・処置後の骨は平滑に、術創は骨膜を含む口腔粘膜で閉鎖する
・口腔ケアが極めて重要
※BP剤開始前に、できる限り感染原の除去と口腔ケアを行っておく!

ONJ発生のメカニズムについては不明でしたが、昨年それに関する論文が出されました。これによると、BP剤によって破骨細胞への分化が阻害され、その代わりとして(骨壊死を引き起こす)炎症性サイトカインを放出するマクロファージが増加することで、ONJが生じる。つまり、マクロファージを増加させるような環境(感染原)を残しておくことはONJの誘因となるということのようです。ただ、抜歯自体が破骨細胞を誘導する処置であるということと、抜歯の創部は大きく、感染リスクが高い処置であることには変わりないので、抜歯を行う場合には充分な注意が必要だということを改めて感じました。


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by nakadateshika | 2018-01-22 08:51 | 勉強会・講演会 | Comments(0)
2016年 10月 02日
顎骨壊死(まとめ)
MRONJについてのまとめです。

1.MRONJの発生頻度はかなり低い。しかし、一旦発症すると症状が重く治療が困難であるため、予防が重要である。
2.代謝回転の遷延や血管新生阻害などにより、骨壊死が生じやすくなることが誘因であると考えられる。
3.歯性感染→腐骨形成、腐骨形成→感染→骨髄炎、いずれのパターンも考えられるが 感染によって病態が増悪することは確かなので、口腔衛生状態の改善と感染源の処置を可及的に行うことが大事である。
4.休薬の効果は不明であるため、全身状態を考慮したうえで 休薬・外科処置の適否を判断する。
5.インプラントへの影響なども不透明だが、必要最小限の処置に留めることが妥当と思われる。

歯を守ることは、歯科医療に課せられた重大な使命です。しかし、超高齢化社会という歴史上類を見ない社会構造の中では、(MRONJに限らず)歯があることによる問題が起こりえるというのはなんとも悩ましいところです。この問題への明確な答えを出すことは容易なことではありませんが、歯科医療が今後どう向き合っていくのかということについては考え続けなければならない重要なテーマであることは間違いないと思います。

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by nakadateshika | 2016-10-02 09:54 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 10月 01日
顎骨壊死の予防(骨粗鬆症患者)
1.薬剤治療が予定されている場合
 ・通常の歯科治療が可能。
 ・4年以上の服用によりONJのリスクが高まることから、その間に歯科治療を行う意義について患者説明を行う。

2.薬剤治療がすでに行われている場合
1)治療期間が4年未満で、臨床的リスクがないケース
 ・通常の歯科治療が可能。
 ・口腔衛生状態の改善と必要な歯科治療を速やかに行い、歯性感染のリスクを下げる。
 ・予後不安な歯については、抜歯も検討する。

2)治療期間が4年未満だが臨床的リスク*がある、または治療期間が4年以上のケース
 ・できるだけ外科処置を避ける。
 ・全身状態が許せば、術前2ヶ月の休薬を検討(今のところ科学的根拠はない)
 ・口腔外科医との連携も検討する。
*臨床的リスク:ステロイド製剤や血管新生阻害薬を服用している場合

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by nakadateshika | 2016-10-01 19:29 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 10月 01日
顎骨壊死の予防(悪性腫瘍患者)
ONJに関する理論的(基礎的)な背景についてある程度把握できたので、実際どのように対応(予防)するべきなのかについてまとめてみます。
ONJに関与する薬剤は、骨粗鬆症患者だけでなく悪性腫瘍の患者に対しても使用されています。悪性腫瘍患者に使用される注射BP製剤は経口BP製剤と比較してONJのリスクが100倍高いと言われていますし、疾患の性質を鑑みると悪性腫瘍と骨粗鬆症とでは分けて考えた方がよさそうです。

1.薬剤治療が予定されている場合
・全身状態が許す場合には歯科治療が終わるまで、投与開始を待ってもらう(医師との連携が必須)。
・保存不可能な歯牙の抜歯、予後不安な歯も抜歯しておくのが妥当。

2.薬剤治療がすでに行われている場合
・口腔衛生状態の改善を図り、感染のリスクを可及的に少なくする。
・外科処置は出来るだけ避けるべきだが、抜歯が明らかに必要な場合には抗菌薬の術前投与をしたうえで行う。

現時点では休薬による効果が完全に裏付けられているわけではないので、悪性腫瘍患者に対する休薬は難しいようです。かといって、抜歯が必要な状態でそのままにしておくことは感染のリスクとなるので、十分に考慮したうえでの抜歯、あるいは口腔外科医への紹介を検討すべきではないかと思います。

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by nakadateshika | 2016-10-01 08:04 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 09月 29日
ONJの発生機序(仮説)
ポジションペーパーによると、ONJの発生機序は不明とされています。ただ、メカニズムがわからないことにはどのような対応が適切かどうかわからないので自分なりに考えてみることにしました。いくつかの文献を総合すると、下記のような推論が考えられそうです。

1.薬剤の骨吸収抑制効果により、リモデリングサイクルが遅くなる。
2.(顎骨では歯根膜や咀嚼荷重により骨形成が生じやすいため)相対的に骨形成優位となり、結果的に骨梁が肥厚する。しかし内部の骨は置換されず古くなり、薬剤の血管新生の阻害作用も相まって、骨細胞への血液供給が不足し、骨細胞の壊死さらには腐骨が形成される(ごくまれに)。
3.腐骨に口腔内細菌が感染する。
4.腐骨が感染源となり、骨髄炎を誘発する。

ただ、腐骨形成が自然発生するケースは極めて稀であり、実際には歯性感染が先行もしくは併発していることの方がむしろ多いのではないかと想像されます。
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by nakadateshika | 2016-09-29 08:36 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 09月 28日
顎骨壊死の診断
BPに起因すると思われる顎骨壊死をBRONJ(BP-related ONJ)と呼びます。しかし、現在ではBP剤以外の骨粗鬆症薬も使用されるようになり、それらの薬剤によっても顎骨壊死が生じる可能性があることから、まとめてMRONJ(Medication-related ONJ)と言い換えられるようになってきました。

図のように定義付けもされていますが、消去法で骨粗鬆症薬が疑われているような印象も拭えず、一部の整形外科医からはその関連性に否定的な意見もあるようです。そもそも(放射線性顎骨壊死を除いて)MRONJ以外に同じような病態を示す顎骨壊死が存在するのか?MRONJの発症メカニズムは?といったところに疑問があります。まだ解明されていない部分も多いようですが、目下調査中です。
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by nakadateshika | 2016-09-28 06:58 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 09月 27日
ビスフォスフォネート
骨は、日々新たな組織に作り替えられています(一つの骨で3〜4ヶ月、体全体の骨も約3年ですっかり置き換わる)。通常は、骨形成と骨吸収のバランスが保たれているため骨質は維持されますが、骨粗鬆症ではこのバランスが失われ(骨吸収のスピードに骨形成が追いつかず)、結果として骨が脆くなり 骨折しやすくなってしまいます。
BP(ビスフォスフォネート)製剤は、骨吸収の主役である破骨細胞を自然死させることによって骨吸収を抑制し、骨吸収と骨形成とのバランスを整えることで骨折を予防する薬剤です。骨粗鬆症治療薬としての効果は極めて高く、また骨転移のあるがん患者にも投与されており、使用量は年々ウナギ登りだそうです。しかし、「BP製剤が顎骨壊死を引き起こす」という論文が2003年に報告されてからというもの、この問題は歯科界で大きなトピックになっています。

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by nakadateshika | 2016-09-27 11:57 | 歯科臨床 | Comments(0)
2016年 09月 26日
顎骨壊死
(最近というわけでもないですが)BP製剤を服用されている患者さんは年々増加しているように感じます。骨折予防の観点からみれば、BP製剤は非常に有効な薬剤だそうですが、その副作用として 抜歯などの外科処置により顎骨壊死がまれに生じることが報告されています。そのため、外科処置を行う前には数ヶ月間の休薬を行うことが一般的ですが、抜歯が必要で痛みが強い場合などにはその対応に悩んでしまうことも少なくありません。
顎骨壊死に関して、ポジションペーパー(公式見解)が今年作成されていますので、これを元にまとめてみようと思います。

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by nakadateshika | 2016-09-26 18:51 | 歯科臨床 | Comments(0)